厚生労働省は4日、社会保障審議会介護保険部会(座長=山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大名誉教授)に、要支援者に対する介護予防給付を地域支援事業に移行させる案を示した。案では、介護予防事業の移行に加えて、地域支援事業の生活支援サービスの提供体制を強化した「新しい総合事業(要支援事業・新しい介護予防事業)」の創設を提言している。

 厚労省は、現在の介護予防給付では見守りや配食、外出支援など、介護以外のサービス提供への対応が難しい点を課題として指摘。さらに、中長期的には介護保険料の上昇が見込まれる中、要支援者に対するサービス給付を効果的で効率的なものにする必要があるとした。
 
 その上で、課題解決のため、介護予防給付を実施主体が市町村である地域支援事業に移行させることを提案した。移行によって介護保険法に定められた一律のサービスしか提供できなかったものが、ボランティアやNPO、民間企業などの地域資源を活用した多様なサービスを、地域の実情に合わせ柔軟に提供できるようになる。サービス提供を受ける際、要支援認定やケアプラン作成などが必要な点は、従来と変わらない。

 その一方で、介護予防給付ではサービスの質を保つため、人員配置基準や運営基準が全国一律で定められていたが、地域支援事業では一律の基準はなくなり、人員配置や運営の基準も市町村の判断に委ねられる。移行を終える時期については、受け皿となる事業の整備を終えるまでの期間も考慮し、「2016年度から18年度を想定している」(同省関係者)という。

 さらに厚労省は、地域支援事業における生活支援サービスを拡充するため、要支援者らのニーズと地域資源のマッチングなどを行う「生涯現役コーディネーター」(仮称)や協議会の設置なども提案。介護予防給付を移行させ、生活支援サービスを充実させた地域支援事業を「新しい総合事業」と位置付けた。(CBニュース)