厚生労働省は4日、厚労相の諮問機関、社会保障審議会介護保険部会に、介護の必要度が低い「要支援者」向けのサービス見直し案を示した。介護保険の全国一律サービスから切り離し、2015年度から3年程度かけて市町村が独自に日常生活支援をしている地域支援事業に移すことが柱だ。サービスの種類や料金も市町村に委ねられるため、一部委員からは「地域間格差が生じないか」との懸念も出されたものの、大筋了承された。厚労省は「(国と地方を合わせた現行サービス費の)6000億円は確保する」と明言した。

 現在、要支援の人は約150万人。同省は単身高齢者世帯の増加を理由に、見守りや配食、家事援助などの生活支援サービスの必要性は強調しつつも、担い手はボランティアや地域住民が主体とし、コスト削減を図る考えをにじませた。

 委員からは「自治体によっては受け皿がないところもある」と不安視する声や「認知症の人には、初期でも専門職の対応が必要」などの異論も出た。

 制度変更に際し、厚労省は「サービスが受けられなくなるようにはしない」と説明している。しかし、社会福祉法人「江東園」(東京都江戸川区)の杉啓以子さんは「市町村によって対応が二極化するのでは」と指摘している。(毎日新聞)