東京都は、「平成24年介護保険法改正・報酬改定に伴う影響調査」の結果を発表した。

同調査は、昨年12月、大都市東京で事業者が質の高い介護サービスを提供できる介護保険制度にすること、東京都の施策や国への提案に反映させていくことを目的に、介護保険事業所と介護老人保健施設を対象に実施。
介護保険法改正・報酬改定前後でのサービス提供(利用)状況の変化、収支の増減、事業者が把握した利用者または家族の声などについて訊ねた。
その中から居宅介護支援事業所(回答事業所数1,699)への調査の結果を紹介する。

■居宅介護支援事業所の利用者数
回答した全事業所の利用者数は、要介護が11万7,878人、要支援が1万7,229人だった。

■改正・改定でケアプランは軽微な見直しを行った傾向に
今回の改正・改定を理由としてケアプランの見直しを行った利用者の割合(事業所の利用者全体を10とした場合の各項目の割合を2割以下、4割以下、6割以下、8割以下、10割以下で回答)を訊ねたところ、1,495事業所が回答し、「サービスの利用中止や新たなサービスの利用を開始するなど大幅な見直しを行った利用者の割合」では2割以下が1,378事業所ともっとも多く、6割以下まででが1,479と大半を占めた。「利用するサービスに変更はないが、利用時間や回数の変更など軽微な見直しを行った利用者の割合」は2割以下から10割以下までを200~300台とまんべんなく占め、「特に見直しは行っていない」は2割以下が632ともっとも多かったが、4割以下から10割以下まではそれぞれ200前後の事業所が占めた。
この結果から、全般に、利用時間や回数の変更など軽微な見直しを行ったケースが多かったと言える。

■6割以上が改正・改定について「良い部分と悪い部分がある」
今回の改正・改定に対する事業者としての評価を訊ねたところ(回答事業所数1,666)、もっとも多かったのが「良くなった面もあるが悪くなった面もある」で1,100事業所、全体の66.0%だった。「特に影響はない」は 11.5%、「評価できない(悪くなった)」は 21.2%、「評価できる(良くなった)」はわずか 2.2%だった。

また、介護報酬改定前と今回の介護報酬改定後の収支の状況では(回答事業所数1,671)、もっとも多かったのが「報酬改定の影響はあまりなかった」で1,009事業所、全体の60.4%、ついで「増収と減収が相殺され、大きな影響はなかった」が15.9%、「収益が増えた」が12.6%、「収益が減った」が11.3%だった。 ゛

今後の事業展開の意向を訊ねたところ(回答事業所数1,682、複数回答)、「現状維持」がもっとも多く、全体の67.0%、「居宅介護支援及び介護予防支援事業を拡大したい」が36.6%、「居宅介護支援及び介護予防支援事業は縮小していく」が6.4%、「その他の介護保険サービスに参入したい」が6.3%だった。 

■制度の複雑化や変更点には、サービス利用者・提供者ともに戸惑いが
上記の設問以外で、今回の改正・改定の影響や問題点などを訊ねた質問では(回答事業所数1,667、複数回答)、「制度が複雑化し、利用者が理解できない」がもっとも多く、全体の82.6%が回答。ついで「改正・改定の詳細が示される時期が遅いが」80.4%、「細かな変更が多く、現場の対応が大変」が78.5%、「新サービスの創設や時間区分の変更などにより、これまでよりも利用者に適切なケアプランを作成できるようになった」と回答したのはわずか8.8%だった。

また、事業者が把握している今回の改正・改定に対する利用者や家族の評価を訊ねたところ、「評価できる」意見として、「適切なサービスの組み合わせなどにより、ケアプランが以前より良くなった」。「良くなった面もあるが悪くなった面もある」との意見では、「改正時には戸惑っていたが、すぐに慣れた」。「評価できない」との意見では、「改正や料金の変更があると混乱してしまう」「利用料が増え、経済的負担が重くなった」などの声が聞かれた。(ケアマネジメントオンライン)