厚生労働省は8月28日、第46回社会保障審議会介護保険部会を都内で開催した。
ここでは、この日話し合われた議題と、重要ポイントをいくつかピックアップして紹介する。
なお、ケアマネジメント・オンラインでは、小竹雅子氏による詳細なレポートを後日配信予定。

この日の議題は、1)社会保障制度国民会議報告書、法制上の措置の骨子について、2)地域包括ケアシステムの構築について、の2点について、事務局からの説明の後、各委員から意見および事務局への確認事項などが述べられた。

平成27年度に予定されている介護保険法改正に向けて、春ごろより「軽度者切り」や「利用者応能負担」などがささやかれていたが、8月6日に出された国民会議の報告書を受け、今後テーマごとに部会で議論される予定だ。

冒頭、事務局より、いわゆる「軽度者切り」(介護予防の地域支援事業への移行)について、「地域支援事業も介護保険の中の制度であり、財源構成も変わらない」と述べ、マスコミ報道等で介護保険から外れるという印象を与えているのは遺憾である旨を表明した。

■国民会議の報告書(概要)に提示された介護保険制度改革
・一定以上の所得のある利用者の負担は引き上げるべき。
・食費や居住費についての補足給付の支給には資産を勘案すべき。
・特養は中重度者に重点化を図るとともに、デイサービスは重度化予防に効果がある給付への重点化を図るべき。
・低所得者の1号保険者について、軽減措置を拡充すべき。
・介護納付金について、負担の公平化の観点から、総報酬額に応じたものとすべきだが、後期高齢者支援金の状況も踏まえつつ検討。
・引き続き、介護サービスの効率化・重点化に取り組む必要。

もう一つの議題である地域包括ケアシステムの構築については、ケアマネジメントの質や地域ケア会議についても重要課題として取り上げられている。
論点は以下のとおり。

■ケアマネジメントについて
・居宅介護支援事業者の指定権限の委譲 →保険者機能の強化という観点から、居宅介護支援事業者の指定権限を市町村に委譲すべきではないか。
・介護支援専門員実務研修受講試験の受験要件の見直し →専門性の確保および向上を図っていくため、法定資格保有者、または生活相談員等で必要な実務経験が5年以上あるものを受験対象者としてはどうか。
・介護支援専門員の研修制度の見直し →ケアマネジメントの質を向上させるため、研修カリキュラム等の具体的な見直しを進めてはどうか。
・主任介護支援専門員による現場での実務研修等の実施 →資質向上を図るため、更新制を導入(更新時に研修実施)するとともに、主任介護支援専門員の具体的役割として、地域の介護支援専門員に対する現場での実務研修の実施などを義務付けてはどうか。

■地域ケア会議について
・これまで通知に位置づけられていた地域ケア会議について、介護保険法に制度的位置づけを行うべきではないか。(ケアマネジメントオンライン)