厚生労働省は27日、一律1割となっている介護保険の自己負担割合について、夫婦で年収約360万円以上ある人は2割に引き上げる方向で調整に入った。一方、低所得の高齢者の保険料は基準額より最大70%減とし、最大50%減としている現行制度を拡充する。来年の通常国会に介護保険法改正案を提出し、2015年度からの実施を目指す。

 いずれも、「年齢別」から「能力別」の負担に改めることを求めた政府の社会保障制度改革国民会議の報告書に沿った改革案だ。

 能力別の具体策として、医療で「現役並み所得者」とされる夫婦で年収520万円(単身者383万円)以上の人については、「2割負担」に加え、自己負担上限(月額)もアップさせる。上限を超えた介護費は「高額介護サービス費」で補填(ほてん)され、上限額は制度創設以来、月3万7200円(住民税課税世帯)に据え置かれているが、収入が「現役並み」の高齢者は、医療費の自己負担上限額と同じ4万4400円とする。

 自己負担割合を2割とする収入基準は(1)夫婦世帯で年収359万円(単身者280万円)以上(2)同369万円(同290万円)以上--のどちらかとする考えだ。(1)は65歳以上加入者の上位20%、(2)は住民税納付者の上位50%で、ともに600万人前後となるが、影響を受けるのはこのうち介護保険を利用している数十万人とみられる。

 一方、世帯全員が住民税非課税の低所得層(約910万人)については、1300億円を投入し、保険料の軽減措置を拡充する。基準保険料(月額平均4972円)の50%減か25%減の2段階となっている現行制度を、年金収入などに応じて70%減、50%減、30%減の3段階に広げる意向だ。(毎日新聞)