厚生労働省は25日、特別養護老人ホームの入所基準を厳しくする方針を固めた。入所できるのは原則として、手厚い介護が必要で自宅では負担が重い「要介護3」以上の高齢者からとする方向だ。要介護度の低い人は在宅へ、という流れを進め、制度維持のため給付費を抑制するのが狙い。介護保険法を改正して2015年度からの実施を目指す。

 28日に再開する社会保障審議会の介護保険部会で議論を本格化させる。

 社会保障制度改革国民会議の報告書は、特養の入所者について「中重度者に重点化」と明記。改革の工程を示すプログラム法案の骨子でも、14年の通常国会に介護保険法改正案を提出し、15年度からをめどに実施していくとした。

 厚労省は報告書を踏まえて、特養に入所できる高齢者を要介護3以上の中重度者とし、比較的軽度の要介護1、2の高齢者は新規の入所を制限する。現在は都道府県が入所の基準を定めているが、法律に「入所は要介護3以上」と盛り込むことなどを検討している。

 要介護1、2の高齢者が特養を利用する理由として「介護者不在、介護困難、住居問題」が大きいとする調査結果もある。このため厚労省は、自宅がない要介護1、2の高齢者向けには空き家などを活用して住まいを確保し、買い物や食事などの生活支援も合わせて行う仕組み作りを進める。(中国新聞)