田村憲久厚生労働相は21日、東日本大震災の被災地の一部に限って訪問看護ステーションの一人開業を認めた特例措置について、経過措置を設けた上で終了するとした省令の改正案を社会保障審議会(社保審)に諮問した。社保審介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶大大学院教授)はこの日の会合で同案を了承。今後、社保審の西村周三会長を通し、田村厚労相に答申される見込み。

 通常の訪問看護ステーションの場合、常勤換算で2.5人以上の看護師らの確保が必要だが、特例措置では看護師が1人でも介護サービス費が給付されている。今年6月1日現在、この特例措置を利用しているのは、宮城県石巻市と福島県南相馬市の2事業所で、利用者は計13人。

 特例措置の終了期限が迫っていることを受け、厚労省が今月上旬、石巻市と南相馬市に意向を確認したところ、両市とも訪問看護の提供体制が回復しつつあることなどを理由に、特例措置の延長を希望しなかった。さらに、一人開業の事業所の周辺にある既存の訪問看護ステーションから、新たな利用者の受け入れが可能であることも分かった。

 諮問を受けての議論では、高智英太郎委員(健康保険組合連合会理事)が、「一人開業が漫然と続くのは不適切」と指摘。齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)らも同様の意見を述べるなど、多数の委員が特例措置の終了を支持した。

 議論を受け、分科会では特例措置を10月12日で終了する見解をまとめた。ただ、11日までに石巻市と南相馬市の一人訪問看護ステーションに利用者として登録した人については、経過措置を設ける。経過措置の期限については定めていない。

消費増税への対応、年内に決定

 分科会では、消費税率が8%に引き上げられる際の対応案についても議論した。先月、同分科会の介護事業経営調査委員会で了承された案で、▽基本単位数と一部の加算の単位数を、消費税率引き上げに合わせて上乗せする▽各サービスへ上乗せされる具体的な単位数などについては、「介護事業経営概況調査」の結果などを基に年内に決定する▽高額投資に対し、特別な対応はしない▽区分支給限度基準額や特定入所者介護サービス費に関する対応については今後、検討する―などが盛り込まれており、いずれも大筋で了承された。これを受け、来年4月に予定されている消費税率引き上げに合わせ、介護報酬の一部改定も実施される。

被災者の要介護認定有効期間、福島県の4市町村で延長

 また、被災地の要介護認定の有効期間を最大で12か月間延ばせる特例省令の適用期限を、一部の市町村に限り、9月末から来年3月末まで延長する方針も了承された。対象者は南相馬市、双葉町、浪江町、飯館村の4市町村に住む被保険者。(CBニュース)