厚生労働省所管の公益財団法人介護労働安定センターは、8月16日、平成24年度介護労働実態調査の結果を発表した。

調査は、全国の介護保険サービス事業を実施する事業所を対象とした「事業所における介護労働実態調査」と
同じ事業所から介護にかかわる労働者を対象とした「介護労働者の就業実態と就業意識調査」からなっている。
調査期間は、平成24年11月1日~平成24年11月30日。
回答数は、事業所が7,511で回答率43.5%、介護労働者が18,673人で回答率36.1%だった。

以下に主な調査の結果を紹介する。

■半数以上が従業員が不足していると回答
1年間(平成23年10月1日~平成24年9月30日)の離職率の状況は17.0%で、前年度の16.1%より1ポイント上昇した。また、採用率の状況は23.3%で、前年度の21.0%を上回った。

従業員の過不足についての質問では、不足感(「大いに不足」、「不足」、「やや不足」)を感じていると回答した事業所は全体のは57.4%で、前年度の53.1%より4ポイント上昇。「適当」と回答したのは42.0%で、前年度の46.1%を4ポイント下回った。

職種別で不足感が高いのは訪問介護員(ホームヘルパー)の67.9%、ついで介護職員(ホームヘルパー以外の介護職員)の47.9%。介護支援専門員は20.5%だった。

■介護サービスの問題点は人材確保だが、十分な賃金が払えない
介護サービスを運営する上での問題点では、「良質な人材の確保が難しい」が53.0%(前年度50.4%)、次いで「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」が46.4%(前年度49.8%)だった。
以下、「指定介護サービス提供に関する書類作成が煩雑で、時間に追われてしまう」31. 5%、「新規利用者の確保が難しい」27.3%と続き、「特に問題はない」はわずか5.4%だった。

■処遇改善加算は一時金の支給が半数以上。月給の平均は21万1900円
介護職員処遇改善加算を算定した事業所の対応は、「一時金の支給」が55.6%、「諸手当の導入・引き上げ」が44.1%、「基本給の引き上げ」が26.5%、「教育研修の充実」が20.9%だった。

事業所管理者を除く労働者の月給の平均は211,900円で、もっとも高かったのが看護職員の261,994円、ついで介護支援専門員は247,859円だった。また、事業所管理者(施設長)は354,304円だった。

■介護の仕事はやりがいがあるも、キャリアや賃金面で不満
介護労働者に仕事を選んだ理由を訊ねたところ、もっとも多かったのが「働きがいのある仕事だから」で54.9%、次いで「今後もニーズが高まる仕事だから」が38.4 %、「資格・技能が活かせるから」が37.2%だった。

現在の仕事の満足度を項目別に訊ねたところ、「仕事の内容・やりがい」が54.1%、「職場の人間関係、コミュニケーション」が47.0%、「職場の環境」が39.5%。低かったのは「賃金」の18.1 %を筆頭に、「教育訓練・能力開発のあり方」が19.5 %、、「人事評価・処遇のありかた」が19.9%、「キャリアアップの機会」が24.3%だった。

また、介護関係の仕事の継続意志について訊ねたところ、「働き続けられるかぎり」が55.7%、「わからない」が19.8%だった。

労働条件などの不満では、「仕事内容のわりに賃金が低い」43.3%がもっとも高く、前年度の44.2%より微減した。次いで「人手が足りない」42.4%、「有給休暇が取りにくい」35.6%、「身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)」30.0%だった。(ケアマネジメントオンライン)