有料老人ホームなどを運営する事業者などで作る全国特定施設事業者協議会は、8月6日、厚生労働省に要望書「介護予防給付の存続について」を提出した。

要望書は、「介護保険給付と地域支援事業のあり方を見直す」との社会保障改革国民会議の報告書を受け、同協議会の市原代表理事・国政副代表理事から厚生労働省老健局の原局長に提出した。
また、同行した公益社団法人全国有料老人ホーム協会も「介護予防給付の制度存続についての要望」を提出した。

■要望書「介護予防給付の存続について」の概要
•現在の地域支援事業は、保険者の意識や実力、保険財政の状況によって大きな差があり、高齢者が介護予防のためのサービスを受ける権利を保障するためには現行の介護予防給付の形式が最善。

•特定施設への早めの住み替えニーズに対しては、自立・要支援の段階から入居し、できるだけ要介護状態にならないよう、事業所・入居者ともに取り組んでいる。
同協議会が実施したアンケートでは、要支援者に対する介護予防の取り組みについて運動機能向上は88.3%、体重測定などの栄養改善は98%以上、認知機能低下予防は70%の特定施設が取り組んでいる。

•仮に介護予防特定施設入居者生活介護が廃止されると、経営状況の悪化や、介護予防・重度化予防の実行の困難、早めの住み替えの選択肢の減少などのおそれがある。

•地域包括推進支援事業(仮称)が行われた場合も、介護予防事業に参加しにくい、住所地特例対象者は保険者の実施する事業に参加できない、自立から要支援・要介護まで一貫したサービス提供の流れが分断される弊害がある。

•ついては、介護予防特定施設入居者生活介護の給付の仕組みは現行の形での継続をお願いする。

■厚生労働省老健局 原局長のコメント
「介護保険制度全体を守るために給付対象は絞る必要がある。しかし、要支援者のサービスが0になるわけではない。特定施設や有料老人ホームも地域の社会資源として市町村と連携してほしい。今後、介護保険部会で具体的な議論が始まるので、よりよい仕組みを検討していきたい」

同協議会は、他の介護保険事業者団体とも連携を図りながら今後も介護予防給付の見直しの議論に対し、現場の立場から粘り強く働きかけていくという。(ケアマネジメントオンライン)