8月5日、新しく誕生した介護業界団体「お泊りデイサービス協会」の設立発表が行われた。
同協会は、株式会社日本介護福祉グル―プ、株式会社アクロス、株式会社家族介護、ケア・トラスト株式会社および株式会社女性能力開発研究所のデイサービス事業者5社が設立発起人となり、7月19日に設立。現在73社・156事業所が加盟している(7月30日現在)。

「お泊りデイサービス」は、介護保険制度に基づく「通所介護事業所」に、自主サービスとして提供する新たなサービスモデル。ショートステイの予約が取れない、家族の心身の負担が大きいなど、介護サービス利用者からのニーズが高く、自費サービスにも関わらず、多くの利用者から支持されている。

なかでも認知症高齢者を中心とする要介護者のニーズは切実で、これに呼応するように全国で急速に事業が拡大しており、現在、約2000カ所で「お泊りデイサービス」を提供しているとみられている。
こうした動きを受け、2011年には東京都が、12年には大阪府が、自治体独自の基準を作成するなど、同サービスの必要性が認識されつつある。一方で、事業モデル全般を位懐疑的にみる傾向や、誤った情報に基づく議論が展開されている状況もある。

「お泊りデイサービス協会」は、このような状況を打開し、通所介護事業所でのお泊りサービスを提供する事業所間が連携を図り、社会に正しい情報を発信するとともに、利用者に必要とされる介護サービス提供を実現できるよう、各事業所が情報交換し、研さんする機会を提供することを目的として設立した。

同協会の活動目的は以下の3点。

■活動目的:
・東京都、大阪府による基準案の順守を積極的に推進するとともに、議論を重ね、団体独自の基準案策定を目指す。
・通所介護事業所でのお泊りサービスのモデルの広報・PR活動を通じ、社会に正しい情報発信を行う。
・通所介護事業所でのお泊りサービスを提供する事業所全体のサービス品質の向上に寄与できる活動を行う。

上記目的を補足すると、独自の基準案は、今後開催される勉強会の内容等を踏まえ、1年かかけて準備を進め、来年8月の策定を目指すという。
また、お泊りサービスに関しては、協会としては「お泊りサービスありき」なのではなく、通常のデイサービス利用者の要望に、可能な限り応えることを目指すという。
ショートステイとの棲み分けについては、ショートステイが概ね要介護2以上の利用者を対象とするのに対して、「お泊りデイサービス」は要介護3以上と、重度の人を対象とするという。

同協会は会員からの会費によって運営され、会費はお泊りサービスを提供する通所介護事業1カ所あたり月額1,000円(年間12,000円)。

記者会見に臨んだ日本介護福祉グループ代表取締役会長の藤田英明氏(右)と、同社取締役副社長の斉藤正行氏

今後の活動として、8月28日に、協会設立総会およびパネルディスカッションを開催する。ディスカッションでは、元日本経済新聞編集委員の浅川澄一氏をコーディネーターに迎え、介護保険生みの親の一人、白澤政和桜美林大学教授ほか、協会理事6人をパネリストに開催される。
また、3ヵ月ごとに東京と大阪の2会場で、協会会員に向けた継続的な勉強会を開催する予定だ。(ケアマネジメントオンライン)