介護最大手「ニチイ学館」の齊藤正俊社長は、9日に開いた2013年3月期の中間決算説明会で、医療関連の事業の一環として、医療機関の経営や診療、連携構築を支援するサービスを拡充する方針を明らかにした。電子カルテなどITの普及に伴い、従来の医療事務の外部委託市場が今後は縮小すると見込まれるためで、医療事務の受託を足掛かりに多角的な事業展開につなげたい考えだ。

 10月には日本マイクロソフトと業務提携して、手術室向けの非接触型画像操作システム「Opect(オペクト)」の提供を開始している。齊藤社長は「われわれのマンパワーと、日本マイクロソフトのITパワーを融合して事業を展開していきたい」と述べ、特に病院への支援に注力する方針を示した。

 ニチイ学館が7日に発表した第2四半期決算によると、今年4-9月の連結での業績は、売上高1321億3200万円(前年同期比7.1%増)、営業利益39億300万円(同20.4%減)の増収・減益。5月時点では通期で営業利益114億円を見込んでいたが、72億円に下方修正した。英会話スクールなど教育部門の戦略投資を進めているが、4-9月の広告計画の遅れが響いた。

 ただ、医療関連は売上高518億6900万円(同0.8%増)、営業利益41億円(同5.6%増)。介護サービスなどヘルスケアは売上高700億6000万円(同6.3%増)、営業利益55億8700万円(同17.4%増)で、これら2部門では共に増収・増益となった。ニチイ学館では「通期にかけて堅調に推移する見通し」としている。

 中長期的には、介護保険サービスへの需要がピークを迎える25年に向け市場規模が拡大するものの、それに見合うだけの財源確保は難しいとニチイ学館ではみており、家事代行など保険外サービスを引き続き拡充する。(CBニュース)