民間のシンクタンク・東京財団は、地域社会における医療・介護の新たな連携のあり方を提案した政策提言を作成した。地域で医療と介護が一体的に提供される「プライマリ・ケア・システム」を導入すると同時に、各種の健康保険組合を「地域保険」に一本化することなどを提言している。同財団では、この内容について国に提言するほか、内容を試行的に実施するよう、都道府県や自治体にも働き掛ける方針だ。

 東京財団が作成したのは、「医療・介護制度改革の基本的な考え方~真の国民的議論を実現するために~」。

 提言では、少子高齢化や非正規雇用の増加など、変化した社会構造に対応するため、新たな医療・介護の連帯のあり方を考える必要があると指摘。特に、診療報酬・介護報酬体系に過度に依存し、複雑なシステムを組み上げてきた従来型の医療・介護政策については、根本的に見直し、生活圏を基盤とした地域中心の政策立案を実現すべきと訴えている。

 具体的な方策としては、地域内の病院や診療所、介護施設などがグループを形成。そのグループ内で、ニーズに応じて適切にサービスを選び、ケアを提供するための機関を組織することで、切れ目のない医療・介護サービスの実現を目指す。また、ケアへの信頼を高めるとともに、報酬については、費用節約のインセンティブを発揮させるため、グループ内に組織された機関に、包括方式で支払うとしている。また、報酬方式の大幅な変更に伴い、各種の健康保険組合は、すべて「地域保険」に統合することも提言している。(CBニュース)