厚生労働省は、10月3日・4日の2日間にわたり、平成24年度地域包括ケア推進指導者養成研修(中央研修)が開催された。

平成22年度から開催されている同研修は、地域包括支援センターにおけるさまざまな業務を円滑に進めることを目的に、センター長のマネジメントに関する講義や演習を行っている。3年目の今年で、全国のセンター長研修が終了することになる。
受講者は、地域包括支援センターの業務について幅広一件と経験を有する人で、かつ都道府県より受講推薦を受けた者、約100名。全国から選ばれた、いわば生え抜きの地域包括支援センター長たちである。

具体的な研修の目標は、新たに導入された地域包括ケアを推進するため、地域包括支援センターの管理者として求められる各種マネジメントや、地域において果たすべきセンターの役割を理解し、保険者と協働してセンターの方向性や目標を設定するなど、各地域においてリーダー的な役割を果たせる人材を養成することにある。

また、法改正を踏まえて、改めて位置づけられた地域ケア会議の意義や運営方法等についての理解を深めることにより、他職種協働による地域包括支援ネットワーク構築について管理者としての実践力を高めることにある。

3日は午後1時より5時半まで講義が、4日は午前9時半から午後4時20分まで講義と演習により、国が進めているシステムや今後のセンターの方向性がブレることなく、同じ方向を向けるようにすることが目的。今回は、その1日目の様子をレポートする。

1日目はオリエンテーションの後、最初に老健局総務課による「介護保険制度改正の概要及び地域包括ケアの理念」の講義が行われ、理念の再確認をしながら、今後どのように自治体と協働しながら、地域包括ケアを推進するかを考えるための基礎資料とした。

続いて行われた、同局老人保健課による「これからの介護予防~地域づくりによる介護予防の推進」の講義では、平成22年から実施されている新たな介護予防事業の取り組みについて、その成果や今後の課題などが示された。

この日最後の講義は、日本看護協会による「センター長のマネジメント能力の向上」。地域包括支援センターのセンター長として、各種マネジメント能力を向上させ、保険者とも協働しつつ、地域における今後のセンターの方向性や目標を設定する能力を養成する。

地域包括ケアの中核を担う地域包括支援センターでの仕事は、これまでの福祉や介護にありがちな観念論や感情論を極力廃し、わかりやすくシステム化されたルールに則って粛々と業務を行うことが求められる。そのためには事業計画や行動計画が必須で、それを実行に移すことがすなわちマネジメントであり、この講義では、職場に対するマネジメント、地域に対するマネジメント、目標を達成するためのマネジメント、政策に対するマネジメントなどが、事例とともに示された。

この中央研修を終了したものは、都道府県や市町村における研修の講師となり、講義の内容や制度の理念を実践の場で広げていく伝道師となる。(ケアマネジメントオンライン)