厚生労働省は9月5日、平成23年度に実施したデイサービス利用者の宿泊ニーズ等に関する調査(モデル事業)の調査結果を発表した。(ケアマネジメントオンライン)

この事業の目的は、既存のデイサービス等において、宿泊サービス等を一定の条件のもとで提供し、 デイサービス利用者等の緊急・短期間の宿泊ニーズへの対応や課題等について、 検討を行うための調査研究事業として実施されたもの。

指定認知症対応型通所介護事業所・指定通所介護、有床診療所(今回は該当なし)を対象に、市区町村が調査を行った。

■調査結果概要:
今回のモデル事業は、15自治体、20事業所で実施され、調査対象月の1月当たりで96名が利用した。

■宿泊サービスの利用状況:
・1回当たりの利用日数については、1泊2日の利用が68.5%を占める。
・利用者1人当たりの利用回数は、1月当たりで1回の者が35%と最も多い。
・宿泊サービス利用の申込みは、2週間以上前からの予約が72.3%を占める。

■宿泊サービス提供の実態:
・宿泊サービスの提供は、調査月で5日以下だった事業所が47.3%最も多い。
・宿泊費用の利用者負担は、平均で1,500円。
・宿泊サービス提供日1日当たりの利用者数は、平均で1.73人/日。

■宿泊サービス提供事業所の設備状況:
・95%の事業所で、自動火災報知設備など何らかの防火設備が設置された。
・宿泊時の一人当たり面積は、75%の事業所が7.43平米(4畳半程度)以上を確保した。

■宿泊サービスに対する考え(事業者)
・利用者の家族は、利用者の家族の状態やニーズにより宿泊サービスを利用したいが57.5%となっている。
・ショートステイが利用できる場合であっても、慣れ親しんだデイサービスでの宿泊を積極的に活用したいと考えている家族やケアマネジャーが多い。
・宿泊サービスの利用により、非常に介護負担の軽減になり在宅生活継続の助けになると利用者家族の65.5%が考えている。
・宿泊サービス未利用者の家族について、62.4%が今後は利用したいと考えている。
・ケアマネジャーの87.1%が宿泊サービスの利用を勧めたいと考えており、特に、認知症高齢者に勧めていきたいと考えている割合が49.5%となっている。

■ショートステイとの比較:
・宿泊サービスを利用した利用者は、高い割合で今後もショートステイではなくデイサービスでの宿泊を利用したいと考えている。
・デイサービスでの宿泊がショートステイと比べて良いと思われている最大の理由は、「普段から利用しているサービス事業所である」となっている 。

■宿泊サービス利用による効果:
・宿泊サービスを利用した結果、ご本人の状況の変化としては「安心した様子で過ごしている場面が増えた」が利用者家族では32.6%、ケアマネジャーでは47.5%となっている。
・宿泊サービスを利用した結果、利用者家族の感じた利用者家族の状況の変化としては「睡眠や気分転換のための時間が確保できた」「外出し、用事を済ませることができた」が最も多く、それぞれ28.4%となっている。

■ショートステイや宿泊サービスへの要望:
・ショートステイへの要望は、緊急時の受け入れが最も多く、41.0%を占める。また、利用申込みについても多くのケアマネジャーが課題があると感じている。
・ケアマネジャーの57.9%がデイサービスでの宿泊を介護保険の対象とすべきと考えており、41.6%が介護保険外で対応すべきと考えている。

このほか、報告書には利用者、受託事業者、自治体からのさまざまな意見が紹介されている。

平成23年度デイサービス利用者の宿泊ニーズ等に関する調査事業(モデル事業)の結果について