エーザイが行った認知症に関する意識・実態調査によると、もし親が認知症になった場合、「自宅で介護したい」と回答したのは全体の76%だった。その場合には、「毎日の生活ペースが崩れる」「経済的な負担」「自分の家族への負担」について危惧していることが分かった。

 アンケート調査はインターネットを通じて、65歳以上の親を持つ全国の成人男女9400人(各都道府県で200人ずつ)に対して行われた。調査期間は8月16、17日。
 アンケートでは、親(自身の両親、配偶者の両親)が認知症になった場合、どのように介護したいかを尋ねており、認知症について知っている、もしくは聞いたことがあると回答した9385人のうち、76.3%が自宅で介護したいと回答した。
 内訳は、「できる限り、家族・親族だけで自宅で介護したい」16.0%、「できる限り、近所の人にも協力をお願いしながら家族・親族中心に自宅で介護したい」4.8%、「できる限り、ヘルパーなどにも力を借りながら家族・親族中心に自宅で介護したい」34.3%、「自宅にいながら、家族、医師などの医療関係者や介護関係者などと共に地域全体で介護したい」21.2%だった。
 自宅以外を望む回答では、「病院に入院させたい」6.6%、「介護保険施設、または有料老人ホームなどに入所させたい」15.9%、「その他」1.2%だった。
 男女別に見ると、「できる限り、家族・親族だけで自宅で介護したい」は男性が22.7%に対し、女性は9.7%だった。また、女性は6割以上が、ヘルパーや地域の医療や介護の専門家の協力を得ながら自宅で介護したいと思っており、男女で意識に違いが見られた。
 親が認知症になることで、自分の生活にどのような影響が生じるかとの質問には(複数回答)、「毎日の生活ペースが崩れる」が82.0%と最多で、これに「経済的な負担がかかる」78.7%、「夫や妻、子供など、自分の家族に負担がかかる」72.8%と続き、自分だけではなく、家族全体にも影響を及ぼすと考えていることがうかがえる。

■相談が遅れて後悔するケースも

 認知症について知っている、もしくは聞いたことがあると回答した9385人に、認知症の対応・治療に関して、自分のイメージに最も近いものを選んでもらったところ、「早く対応・治療すれば、進行を遅らせることができる」が81.7%と圧倒的に多かった。
 しかし、認知症と診断された、もしくは認知症の疑いがある親を持つ990人に対し、親の様子や症状の変化に気付いてからどのくらいの期間で家族・知人以外の専門家に相談したかと質問したところ、30.8%が気付いて1年以上たってから相談していたことが分かった。さらに、23.3%は「まだ相談していない」と回答しており、親の症状に気付いていても、医師などに相談するまでに時間がかかっていた。
 また、1年以上たってから医師などの専門家に相談したと回答した305人に、もっと早く専門家への相談を親に勧めておけばよかったと後悔したことがあるかと質問したところ、47.0%が「はい」と回答した。(CBニュース)