通所介護事業所が提供する宿泊サービス(お泊まりデイ)で、個室が宿泊スペースとして活用されているのは全体の半数に満たないことが、10日までの厚生労働省の調査で分かった。一方で、宿泊時に一人が利用できるスペースについては、7割超の事業者が4畳半以上を確保していることも明らかになった。

 調査は昨年度、北海道旭川市や東京都北区、熊本県玉東町など、全国15自治体を通して行われた。対象は、お泊まりデイを提供する20事業所で、その利用者や利用者家族、ケアマネジャーらへの調査も併せて実施された。

 宿泊スペースに関する質問では(複数回答)、一つの部屋をパーティションなどで区切ってスペースを確保している事業所が90.0%あった一方で、個室を提供している事業所は45.0%にとどまった。また5.0%の事業所が、ホールを区切るなどしてスペースを確保していた。

 宿泊スペースの面積に関する質問では、「10.65平方メートル以上20平方メートル未満」と答えた事業所が30.0%で最も多く、「7.43平方メートル以上10.65平方メートル未満」と「7.43平方メートル未満」との回答は、それぞれ25.0%だった。このほか、「20平方メートル以上30平方メートル未満」と「30平方メートル以上」と回答した事業所が、それぞれ10.0%で、75.0%の事業者が利用者一人の宿泊スペースに7.43平方メートル(4畳半)以上を確保していた。

■8割超の事業所「勤務ローテーションに課題」

 勤務ローテーションの課題に関する質問では(複数回答)、「緊急の対応は困難」が50.0%、「夜勤に従事しようとする職員が少ない」が45.0%、「就業規則の改正が困難」が5.0%となった。「特になし」と回答した事業所は15.0%にとどまり、85.0%の事業所で何らかの課題があると感じていることが分かった。経営面の課題に関する質問では(同)、「コストパフォーマンスが悪く事業として成立するか疑問」と答えた事業所が45.0%あった一方で、「利用者数が増加すれば一定の事業モデルが構築できる」とする事業所も40.0%あった。

 また、お泊まりデイをケアプランに組み込んだケアマネジャー195人を対象に、今後、このサービスの利用を勧めたいかどうかを尋ねた質問では、「認知症高齢者に勧めたい」が49.2%で最も多く、以下は「すべての利用者に勧めたい」が37.4%、「勧めようとは思わない」が9.7%、無回答が3.6%となり、86.6%のケアマネジャーが、何らかの形でお泊まりデイを活用したいと考えていることが分かった。ただ、このサービスを介護保険の対象にすべきかどうかについては、「すべき」とする回答が58.5%だったのに対し、保険外で対応すべきという回答は40.6%(無回答は1.0%)と、意見が分かれた。(CBニュース)