◇富山型小規模施設 国実施認める

県は22日、子ども、高齢者、障害者が一緒に利用できる「富山型デイサービス」のような小規模施設で、障害者が訓練を兼ねて働く「福祉的就労」が認められることになったと発表した。県内全域が、国の規制緩和などを受けられる福祉推進特区の指定を受けた。障害者の就労機会の拡大につながると期待される。

 国の規制緩和や税優遇などが受けられる地域活性化総合特区指定を目指し、県が内閣府に申請していた「とやま地域共生型福祉推進特区」が昨年12月に認められた。その後、県は、厚生労働省や内閣府と規制緩和の内容について協議を続けて細部がまとまり、7月27日に閣議決定された。

 これまで福祉的就労は、障害者の利用者が20人以上の大規模事業所であることが条件で、規模の小さい富山型事業所は対象外だった。複数の富山型事業所が合同で申請することが可能となり、障害者の利用がトータルで20人になれば福祉的就労と認められ、市町村から財政的な補助が受けられることになった。富山型事業所で作る団体「富山ケアネットワーク」が中心となり、来年4月から、障害者の福祉的就労を進める予定だ。

 富山型事業所は県内に86事業所(今年3月)あるが、福祉的就労は認められず、各事業所が独自に「有償ボランティア」の名で賃金を払っているのが現状。有償ボランティアは9事業所の14人にとどまっている。障害が重い場合、特別支援学校を卒業しても働き先が見つからないことが多いが、自宅近くの富山型事業所で就労できれば、経験を積み、一般企業での就労につながる可能性もある。

 富山型事業所を初めて開設した惣万佳代子さんの施設「このゆびとーまれ」では、市内2か所の富山型事業所で、知的障害者計6人が有償ボランティアとして、掃除や洗濯などの手伝いをしている。惣万さんは「規制緩和で、不安定な障害者の雇用を守ることができるようになり、障害者同士の交流も増えるだろう」と歓迎する。

 規制緩和では、このほか、認知症になった親と障害を持つ子どもが同じグループホームで生活できる「共生型グループホーム」が認められた。また、デイサービス利用者が、緊急で夜間に宿泊する場合にも介護保険が適用され、従来の全額負担から1割負担に軽減されることなどが決まった。(読売新聞)