7月9日、東京・虎ノ門で厚生労働省の「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の第4回会合が開かれた。その報告2回目の今回は、池端幸彦氏(日本慢性期医療協会副会長)、折茂氏(全国老人保健施設協会副会長・東憲太郎氏代理人)、桝田和平氏(全国老人福祉施設協議会介護保険事業経営委員会委員長)の施設系構成員3名と木村隆次氏(日本介護支援専門員協会会長・日本薬剤師会常務理事)のプレゼンテーション(以下、プレゼン)の内容を紹介する。

池端氏は、この6月に363の介護療養病床を対象に行ったケアマネジャーに関するアンケートの結果を発表した。回答期間はわずか1週間だったにもかかわらず、回答率は72.2%であったという。介護療養病床のケアマネジャーの全体像としては、兼任者が76.7%、元看護師が52.6%と多く、ケアマネジャー経験年数は5年以上が2/3を占めていた。

前回、開催回数についての疑問が示されたケアカンファレンスについては、1カ月間に100床あたり20.4回開催など、回数や所要時間、参加職種などについての報告もあった。

ケアマネジャーとしての業務は、「ケアプラン立案関連業務」、日程調整、資料準備など「ケアカンファレンス関連業務」、患者の状態把握、家族との調整など「入院・転棟時の関連教務」が上位3つであった。一方、地域資源の調整、家族の調整など「退院(転棟含む)時の関連業務」については、前述の3つを含む6業務の中で最も業務量が少ないことが明らかになった。

また、池端氏は自由回答から、医療行為や生命リスクの予防・管理を中心とした看護計画と、患者等の意向を考慮しながら介護・生活面を重視して立案されるケアプランの整合性、医療的なリスク管理と生活の質の向上など、介護療養型医療施設でのケアマネジメントのあり方が検討課題であることを指摘した。

続いては折茂氏による介護老人保健施設(以下、老健)のケアマネジメントについての発表。全国老人保健施設協会では、老健でのケアマネジメント方式として、アセスメント、ケアプラン作成、ケアプランの実施と確認、モニタリングと実施内容の評価の4段階からなる「R4システム」を開発したとのこと。このシステム導入により、インテーク段階で老健の利用目的が明確化されたり、ICFレベルアセスメントにより変化を鋭敏にとらえられたりするなど、効果が上がっていると報告した。

また、この5~6月、2回に分けて3468施設を対象に実施した介護老人保健施設におけるケアマネジャーの役割等についてのアンケート(回収率48.7%・43.6%)から、ケアマネジャーと支援相談員の役割分担については3/4ができているとの回答であり、支援相談員が入退所関係業務、ケアマネジャーがケアプラン作成を担い、業務が分担されていることを明らかにした。

このほか、折茂氏は、施設ケアマネジャーと居宅ケアマネジャーの連携加算創設が必要との回答が7割以上であったこと、ケアカンファレンス開催について、平均2.95回/週開催など、回数、所要時間、参加職種等についても報告した。

次に、桝田氏が平成22年度に2000施設を対象に実施した特別養護老人ホームにおけるケアマネジャーと生活相談員の業務実態調査(回収率45.0%)について報告した。回答者は専任ケアマネジャーが20.6%、専任生活相談員が31.3%、両職種兼任が23.2%とのこと。専任ケアマネジャーの約8割が介護福祉士有資格者だった。

業務面では、専任ケアマネジャーがアセスメント、ケアプラン、チームマネジメントを担い、専任生活相談員がニーズの把握、入所契約、相談支援、QOLの向上(介護予防等)、地域連携業務などを担っていることを報告した。

また、施設介護サービス計画の担当平均入所者数は、兼任者で平均37.6人、専任者でも平均51.9人であり、専任でも50:1でないと担当できないことを明らかにした。

最後に、木村氏から施設ケアマネジャーに関し、実務研修受講者の約4割が施設系であること、ケアマネジメントの本質は居宅も施設も同じであるべきであること、居宅・施設系両方の視点を持ち、総合的なケアマネジメントができる必要がある等の発表があった。また、木村氏は、施設ケアマネジャーのチームケア推進を評価した「施設ケアマネジメント体制加算」創設を提案。どんな加算要件がいいかを検討してほしいと述べた。(ケアマネジメントオンライン)