5月29日に開催された日本在宅介護協会東京支部主催の「第三弾 法改正関連の勉強会」。第1部の報酬改定に関するQ&Aの解説に続いて、第2部では(株)DHM横森三和氏による、「ケアマネジャーに知ってほしい 医療改革・医療報酬改定のポイント」についての講演が行われた。その内容を報告する。

横森氏によれば、医療・介護における現在のキーワードは「2025年」。
平成24年「社会保障・税一体改革大綱」において、高齢化が一段と進む2025年に、どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを受けられる社会、「治す医療」と「支える医療・介護」双方の実現が謳われているからだ。

現在の医療・介護機能は、在宅サービス、居住系サービス、介護施設、療養病床、一般病床が個々に積み重なり、相互の連携が不十分な状況にある。これを2025年に向けて再編し、相互の連携を深めていく。入院医療は病態に応じて、高度急性期、一般急性期、亜急性期等に機能を分化。
また地域包括ケア体制を整備し、医療から介護へ、施設から地域へと患者・利用者を住み慣れた地域に早期復帰させることを目指すという。

入院医療のテーマが機能分化なら、外来は病院と診療所の役割分担がテーマ。初期治療は「地域の主治医」である診療所が行い、専門性の高い疾患の場合に診療所から病院へ、という流れを作る考え。ちなみに入院ベッド数20床以上を病院と呼び、20床未満を診療所と呼ぶ。

一方、「第3の医療」と呼ばれる在宅医療におけるテーマは、外来から在宅復帰への移行をスムーズに行うことと、介護との連携を意識すること。特に看取りまで在宅で行える機能強化をめざし、4月から診療報酬を改定している。

近年、24時間対応で在宅医療を行う在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所(以下、在支病・診)は増えている。しかし、実は在宅で看取りまで行っている在支病・診は約半数にすぎない。残り半数の在支病・診は、患者がターミナル期を迎えると入院させるのが実態だったという。

そこで4月からは、在支病・診を「機能強化型(有床)」、「機能強化型(無床)」、「従来通りの在支病・診」に3分類し、在支病・診以外の病・診と併せて4区分に。機能強化型は、常勤医師3名以上、過去1年間で緊急往診実績5件以上・看取り実績2件以上をクリアすることが条件である。機能強化型は、診療報酬の加算額が他の類型に比べて高く設定され、手厚い報酬が付けられた。

また、医師と訪問看護師の関係もより強化された。医師から、訪問看護師に一時的に頻回に訪問するよう指示する「特別訪問看護指示書」は、これまで急性増悪や終末期でないと出せなかった。しかし4月からは、「退院直後」という事由で出せるようになり、医療依存度が高くても在宅復帰しやすい体制が作れるようになった。

加えて、医師と介護職との連携も強化。これまで医師からの指示書は看護師にしか出なかったが、今回、喀痰吸引などの特定行為を行う介護事業所には、「介護職員等喀痰吸引等指示書」が出るように。医療と介護の連携の必要性がさらに高まったといえる。

ケアマネジャー関連では、介護報酬で医師との連携強化を目指した改定があった。居宅療養管理指導は、居宅介護支援事業者への情報提供が求められているにもかかわらず、これまではまったく情報提供しない医師もいた。しかし4月からは、医師から居宅介護支援事業者に情報提供することが必須要件に。

「これはケアマネジャーと連携を深めるようにという医師へのメッセージ」と横森氏。「ようやく介護職が医師と連携できる時代になってきた。ケアマネジャーのみなさんも積極的に医師にアプローチし、医療・介護の連携を進めてほしい」と、発表を締めくくった。(ケアマネジメントオンライン)