厚生労働省は5月29日、第1回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(以後、経営調査委員会)を開催した。

同委員会は、介護報酬改定の基礎資料としている介護事業経営実態調査等の検討に加え、介護サービス事業の経営分析等を行い、次期介護報酬改定へ向けての議論へつなげていくことを目的とし、社会保障審議会介護給付費分科会に設置されている「調査実施委員会」の名称を改め、「介護事業経営調査委員会」としたもの。

委員は、社会保障審議会介護給付費分科会の委員でもある田中滋氏(慶応義塾大学大学院教授・同会委員長)、池田省三氏(地域ケア政策ネットワーク研究主幹)、村川浩一氏(日本社会事業大学教授)、藤井賢一郎氏(日本社会事業大学専門職大学院准教授)、堀田聰子氏(労働政策研究・研修機構人材育成部門研究員)、千葉正展氏(福祉医療機構経営支援室経営企画課長)の6人。

第1回目となる今回の主な議題は、平成24年度介護従事者処遇実況等調査の実施について。調査対象や抽出率、調査項目などは、いずれも平成21年度処遇調査とほぼ変わっていない。

【介護従事者処遇状況等調査】
■調査時期:平成24年10月
■公表時期:平成25年3月予定
■調査対象:
介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、訪問介護事業所、通所介護事業所、認知症対応型共同生活介護事業所、居宅介護支援事業所。また、調査日に当該施設・事業所に在籍する介護従事者。
■調査項目:
【施設・事業所】給与等の状況、介護従事者の処遇状況、加算の取得状況、利用者数等
【介護従事者】性別、年齢、勤続年数、勤務形態、労働時間、資格の取得状況、兼務の状況、基本給額、一時金の額等

これに対して、委員からはさまざまな意見が出た。

村川委員は、「調査対象から通所リハが抜けている。特定施設も増えているのに、調査対象としては見送られている」ことを指摘。これに対して厚労省は「全職員に対して占める職員割合の高いサービスを基本対象としている。今回調査する7サービスで全体の8割をカバーする」と釈明。調査対象の拡大はないと回答した。

堀田委員からは、「10月の実施だと介護労働実態調査(介護労働安定センター実施)と時期が重なる。事業所の負担にならないか」と調査時期について言及。また、表記に誤解が生じないよう、用語の定義を明確にしてほしいと要望した。

藤井委員は、今回の改定で特に地域区分見直しにより、実質給与が下がった事業所があることを想定し、給与状況の選択肢「引き上げた」「引き上げる予定」「引き上げる予定なし」に、「引き下げた」も加えて、その理由もわかるようにすべきとした。

また、調査項目では、施設・事業所等には給与とともに事業所等の利益についてもたずねているが、田中委員長は「給与に関係するのは利益では売上では?」と疑問を呈した。(ケアマネジメントオンライン)