正社員の立場で親を介護したことがある人の多くは、介護休業の充実より、介護施設や在宅サービスを充実させる方が、仕事と介護の両立に有益と考えていることが、第一生命経済研究所の調査で分かった。また、実際に介護休業制度を利用する人は2割にも達しないことも明らかになった。

 調査は昨年9月22日から10月2日にかけて行われた。調査の対象は企業に正社員として働く20-69歳のうち、現在もしくは過去に、自分か配偶者の親の介護を経験した人で、849人(男性551人、女性298人)を分析対象としている。

■介護休業より、施設やサービスの充実を

 介護と仕事の両立のために必要な支援策を尋ねた質問(複数回答)に対しては、「介護保険制度における介護施設の充実」が57.8%で最も多く、次いで多かったのは「介護保険制度における在宅介護サービスの充実」(43.6%)だった。「介護休業取得中の所得保障の充実」を望む回答(21.9%)や、「会社が休業制度を取得しやすくしてくれること」を期待する回答(19.3%)もあったが、「介護休業制度や休暇制度の充実を希望する回答は、施設やサービスの充実を望む回答の半分以下だった」(調査を担当した的場康子上席主任研究員)。

 介護中の実際の働き方を尋ねた質問(複数回答)に対して、「なるべく残業をしない」が52.2%で最も多く、以下は「たびたび有給休暇を取得する」(32.5%)、「一定の範囲において出社・退社時刻を自由に決める(フレックスタイム)」(23.8%)、「一日の所定労働時間を短くする」(20.8%)などと続いた。「介護休業の取得」は18.8%にとどまった。的場上席主任研究員は「現在、介護と仕事の両立を迫られる人は、介護休業制度や介護休暇より、施設やサービスの充実を望んでいることが明らかになった」としている。

■“近距離介護”の実現も重要

 また、要介護者との住まい方について尋ねた質問では、「同居」が46.8%、「別居」が40.2%、「(要介護者が)施設に入所」が13.1%だった。「別居」と答えた人のうちでも、70.1%の人が要介護者から1時間以内の範囲に住んでいた。的場上席主任研究員は、「仕事と介護を両立する上で、介護者の近くに要介護者が住む“近距離介護”の実現が極めて重要であることが改めて浮き彫りになった」と話している。(CBニュース)