介護職員処遇改善交付金に代わって4月に創設される「介護職員処遇改善加算」について、厚生労働省はこのほど、基本的な考え方や事務処理手順などを示した通知とQ&A集を都道府県あてに出した。

 同加算は、基本報酬に加算や減算を反映させた1か月間の総単位数に、サービスごとに決められた加算率を掛けて算出する。同加算を算定する事業者は、加算総額を上回る介護職員の賃金改善(法定福利費などの事業主負担増加分を含む)を行う必要がある。
 「賃金改善」の考え方については、同加算を含めた賃金水準と、交付金を除いた2011年度の賃金水準を比べ、改善が見られた分と規定。賃金改善と認められないケースとして、▽手当で賃金改善を実施する場合、特段の事情なく基本給を11年度より切り下げる▽基本給で賃金改善を実施する場合、業績連動ではないその他の手当を11年度より引き下げる―を例示した。ただし、利用者数の大幅な減少などによって経営状態が悪化し、事業の継続が著しく困難と認められるなどの理由がある場合は、「適切に労使の合意を得た上で、賃金水準を見直すこともやむを得ない」とした。

■悪質なケースは全額返還も
 また、同加算を算定する事業者が要件を満たさなくなったり、虚偽または不正の手段で加算を受けたりした場合、指定権者は加算の一部もしくは全部を返還させたり、加算を取り消したりできると規定。賃金改善額が加算総額を下回った場合の調整方法として、「一時金や賞与として支給」を示した一方、悪質なケースは、算定要件を満たさず不正請求に当たるため、全額返還になるとした。指定権者による指導があったにもかかわらず、実績報告書を提出しない場合も、全額返還の対象になる。

■交付金事業所、12年度の計画書提出期限は5月末
 同加算の算定を希望する事業者は、▽加算の見込み額▽賃金改善の見込み額▽賃金改善を行う賃金の項目▽賃金改善の実施期間(原則4月-翌年3月)▽賃金改善を行う方法―を記載した「介護職員処遇改善計画書」を作成し、指定権者に毎年届け出る必要がある。
 計画書の提出締め切りは、算定する前の年度の2月末だが、12年度に限り、現在交付金を受けている事業者は、今年5月末までに提出すればよい。一方、交付金を受けていない事業者や、新規に指定を受ける事業者の締め切りは、加算を受ける前々月の末日。今年4月から算定する場合に限り、3月25日としているが、同日は日曜日であることから、「26日までに提出すればよい」(厚労省)という。
 また、同加算を算定した事業者は、▽加算の総額▽賃金改善の実施期間▽賃金改善に掛かった費用の総額▽介護職員一人当たりの賃金改善額―などを記載した実績報告書を、最後に加算が支払われた月の翌々月の末日までに提出した上で、2年間保存する必要がある。(CBニュース)