介護最大手ニチイ学館の北村俊幸取締役(ヘルスケア事業統括本部介護政策調査担当)は8日、「シニアビジネスマーケットフォーラム2012」(綜合ユニコム主催)で講演し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)への将来的な参入に向け、訪問看護の充実を図る方針を示した。

 北村氏は24時間訪問サービスについて、「(在宅)介護の限界点を上げるサービス」と重要性を強調。その上で、「訪問看護が安定的に運営でき、地域に根差したところから始めていきたい」と述べ、将来的な参入に向けて当面は訪問看護の充実に力を注ぐ考えを示した。また、24時間訪問サービスには、一事業所が介護と看護の両サービスを提供する「一体型」と、別の訪問看護事業所と連携して介護サービスのみを提供する「連携型」があるが、北村氏は「やる場合は、一体型になる方向だ」と述べた。

 このほか北村氏は、2012年度介護報酬改定による売上高への影響を説明。地域区分の見直しによる影響については、「都市部を中心に展開しているので、(全体で)1.25%程度のプラスになる」との見通しを示した。一方、売上高の約3割を占める訪問介護では、生活援助の時間区分見直しによって最大で5、6%の減収になるとした。また、「6-8時間」でサービスを提供している通所介護については、利用者や家族らの意向を踏まえることを前提に、「『7-9時間』の方向(にすること)を基本に考えている」とした。

■「24時間と訪問介護の一体運営が効果的」
 また、ジャパンケアサービスの板垣貴宏取締役(24時間訪問介護看護推進部担当部長)は、24時間訪問サービスを運営する上で、既存の訪問介護事業との一体的な運営が効果的と説明。同サービスでは、医療機関や介護老人保健施設からの退院・退所直後の利用者が多いとのデータを示し、「利用者の状態が不安定なうちは集中的に包括(報酬の24時間訪問サービス)でケアを提供し、状態が改善されれば従来の出来高(報酬の訪問介護)に切り替えることができる」と述べた。(CBニュース)