2月28日に開催された第89回社会保障審議会介護給付費分科会では、訪看ステーションの特例措置への答申のほかにも、以下の議題について話し合われた。(ケアマネジメントオンライン)

■東日本大震災復興特別区域法における介護分野の対応について
日常生活圏における介護分野の対応は以下のとおり。
【老人保健施設】外部の医療機関との連携を条件に、医師の配置を緩和(「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」の特例)
【特別養護老人ホーム】外部の医療機関等との連携を条件に、医師の配置を緩和(「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」の特例)
【訪問リハビリ事業所】病院、診療所等以外でも訪問リハビリを行う事業所の設置を可能とする(「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」等の特例)

■東日本大震災に対処するための要介護認定有効期間の特例措置の延長について
1)基本的な考え方:東日本大震災により市町村が要介護認定等の更新に係る事務を行うことが困難となっている状況が継続していることから、被災市町村からの要望を踏まえ、要介護認定等に係る有効期間を延長し、市町村の事務負担を軽減する。
2)具体的内容:平成24年3月31日までの措置となっている要介護認定等の有効期間を12月間(市町村が特に必要と認める場合にあっては、12月間までの範囲内で市町村が定める期間)延長可能とする特例省令(※)について、平成24年9月30日まで適用期間を延長する。
※東日本大震災に対処するための用介護認定有効期間及び要支援認定有効期間の特例に関する省令
3)対象:被災市町村(岩手県、宮城県、福島県内の市町村に限る)が行う介護保険の被保険者であって、平成24年9月30日までに要介護認定等の有効期間が満了する被保険者。

■介護老人福祉施設等の耐火基準の見直しについて
【経緯】介護老人福祉施設等の建物については、原則として耐火建築物(2階及び地階に居室等を設けていない場合のみ準耐火建築物も可)としているが、構造改革特区においては、一定の要件の下で準耐火建築物とすることも認めていたところ。
今般、構造改革特区を全国展開することになったことに伴い、安全性に係る一定の要件を満たした場合には、2階に居室がある場合にも準耐火建築物とすることを可能とする。

以上より、改革内容としては、「特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、短期入所生活介護事業所及び介護予防短期入所生活介護事業所の基準について、以下の改正を行う。

【現行】
○原則は耐火建築物
○2階及び地階に居室等※を設けない場合→準耐火建築物(木造)でも可
※「居室等」…居室(療養室)、静養室、食堂、浴室及び機能訓練室をいう。なお基準上、居室(療養室)を地階に設けることはできない。

【改正後】
○原則は耐火建築物
○2階及び地階に居室等を設けない場合
○2階又は地階に居室等を設ける場合であって、以下の要件のすべてを満たす場合
・消防長又は消防署長と相談した上で、避難マニュアルを作成
・日中及び夜間を想定した避難訓練
・地域住民等との連携体制の整備

■介護報酬改定検証・研究委員会(仮称)の設置について(案)
【目的】平成27年度の介護報酬改定に向けて、平成24年度の介護報酬改定の効果の検証や「平成24年度介護報酬改定に関する審議報告」において検討が必要とされた事項に関する実態調査等を行うことを目的として、社会保障審議会介護給付費分科会に介護報酬改定検証・研究委員会(仮称)を設置する。
【介護報酬改定効果検証検討内容】
・サービス付き高齢者向け住宅、定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスの実施状況
・集合住宅における訪問系、通所系サービスの提供状況
・その他、新たに創設した加算の算定状況 等

【介護報酬改定調査研究検討内容】
認知症に対して現在実施されているサービスの実態
介護事業所、介護施設における医師、看護師、ケアマネジャー等が担っている役割
生活期において実施されているリハビリテーションの実態
介護予防サービスにおいて、効果が高いサービス提供の現状
介護サービスの利用実態と区分支給限度基準額との関係 等