通所介護は2012年度介護報酬改定で、サービス提供の区切りとなる時間が変わり、基本報酬(一日当たり)が見直される。現行の6-8時間の報酬と、12年度以降の5-7時間の報酬を比べると10%前後の減、7-9時間の報酬を比べると5%前後の増になる。また、利用者個別の状況を重視した機能訓練に対する加算を新設する。

 現行の通所介護の時間区分は、3-4時間、4-6時間、6-8時間と設定されている。新報酬では、これらを3-5時間、5-7時間、7-9時間に見直す。算定割合の最も高い6-8時間サービスの利用者は、5-7時間か7-9時間へと移行することが想定されるが、5-7時間に移行すれば報酬は約9-11%下がり、7-9時間に移行すれば約2-6%上がる=表1=。また、家族介護者支援(レスパイトケア)を促進するため、延長加算の上限時間を現行の2時間から3時間に増やして、最大で12時間まで評価する仕組みに改める。11-12時間のサービス提供に対する加算額は150単位/日に設定された。

 さらに、理学療法士などの機能訓練指導員を配置し、利用者ごとの個別計画を作成した場合に算定できる「個別機能訓練加算」を再編する。指導員を一日120分以上、専従で配置した場合に算定できる現行の「同1」(27単位/日)を廃止。常勤・専従の指導員配置を求める現行の「同2」(42単位/日)を、「同1」に名称変更する。その上で、利用者個別の心身の状況を重視した機能訓練を適切な体制で実施した場合を評価する「同2」(50単位/日)を新たに設ける。算定要件は、▽専従の指導員として理学療法士らを1人以上配置している▽指導員や介護職員、看護職員らが共同で、利用者ごとの心身の状況を重視し計画を作成している▽計画に基づき、理学療法士らが利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に行っている―の3つ。

 一方、事業所と同じ建物に住む利用者については、原則として所定の単位数から94単位/日を減らす。06年度の前々回改定で送迎加算が基本報酬に包括化されたが、同じ建物に住む場合の送迎は不要として、減算する。この減算は、通所介護以外にも、通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護でも実施される。

 このほか、通所介護事業所の介護職員や生活相談員らの人員基準は、「通所介護の単位ごとに提供時間帯を通じた人員配置」から「サービス提供時間数に応じた人員配置」に見直す。ただし、介護職員はサービスの提供時間帯を通じて1人以上配置する必要がある。

■通所リハビリ、重度者受け入れで加算

 通所リハビリの4-6時間、6-8時間のサービスの基本報酬(一日当たり)は、通常規模型事業所(利用者数月750人以下)で2%超引き下げられる=表2=。

 12年度改定では、生活期のリハビリを充実させるため、関連する加算の要件を見直す。リハビリ実施計画を作成し、月8回以上通所リハビリを実施した場合に算定できる「リハビリテーションマネジメント加算」(230単位/月)に関しては、要件を月4回以上の利用に緩和するとともに、新規利用者の居宅を利用開始後1か月以内に訪問し、日常生活の状況や家の環境を確認するとの要件を加えた。
 また、「個別リハビリテーション実施加算」(80単位/回)の要件を改め、1-2時間のサービスでは同加算を一日複数回算定できるようにする。このほか、「短期集中リハビリテーション実施加算」の評価も見直す。

 また、医療ニーズの高い人を受け入れた通所リハビリ事業所を評価するため、「重度療養管理加算」(100単位/日)を新設する。算定対象は、要介護4か5で、日常的にたんの吸引をしていたり、人工呼吸器を使用していたりする状態の利用者。

■通所系の予防給付は基本報酬引き下げ
 通所介護や通所リハビリの基本報酬見直しに合わせ、これらの予防給付の基本報酬(一か月当たり)を引き下げる。介護予防通所介護の報酬は、要支援1が2099単位(現行報酬は2226単位)、要支援2が4205単位(4353単位)。介護予防通所リハビリは、要支援1が2412単位(2496単位)、要支援2が4828単位(4880単位)。

 利用者の自立を促すため、運動器機能向上サービス、栄養改善サービス、口腔機能向上サービスから成る選択的サービスのうち、複数を組み合わせて実施した場合を評価する「選択的サービス複数実施加算」を新設する。2種類実施した場合に算定できる「同1」は480単位/月、3種類の「同2」は700単位/月。また、利用者実人員数のうち60%以上に選択的サービスを実施するなどの要件を満たせば算定できる「事業所評価加算」は、現行の100単位/月から120単位/月に引き上げる。このほか、集団的なレクリエーションを評価する「アクティビティ実施加算」(53単位/月)を廃止する代わりに、複数の利用者から成るグループに実施される日常生活上の支援を評価する「生活機能向上グループ活動加算」(100単位/月)を新たに設ける。

■療養通所介護、定員を9人に
 療養通所介護の利用定員を現行の8人から9人に見直した。(CBニュース)