2012年度の診療報酬と介護報酬の同時改定をめぐる議論が最終局面を迎えました。社会保障審議会(社保審)の介護給付費分科会は25日、介護報酬改定案を小宮山洋子厚生労働相に答申し、12年度からの新たな介護報酬や各種基準が決定。一方、厚労省は27日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、個別の診療報酬改定項目に関する施設基準や算定要件などの具体案を示し、改定案の全貌が明らかになりました。 (CBニュース)

■25日(水) 社保審介護給付費分科会

 小宮山厚労相が、介護職員処遇改善交付金に代わる加算の創設などを盛り込んだ12年度の介護報酬改定案を社保審介護給付費分科会に諮問し、同日中に答申された。昨年末に決まった1.2%の改定率を踏まえ、サービスごとの基本報酬や加算の算定要件、人員・設備・運営の各基準などを明記。また、年度末で終了する介護職員処遇改善交付金に代わり、14年度末までの「介護職員処遇改善加算」を創設することなどが盛り込まれた。3月上旬にも告示される。

12年度の介護報酬改定を答申- 社保審介護給付費分科会

■27日(金) 中医協総会

 
12年度の診療報酬改定に関する個別の改定項目の検討がスタート。厚労省は、社保審の部会が策定した改定の基本方針に沿って、算定要件や施設基準の具体案を提示した。焦点の一つとなっている、同一日における2つ目の診療科の再診料(200床以上の病院は外来診療料)については、1科目と同一または関連の疾病を対象外としたほか、他の加算を算定できないよう制限を設けた。同省では、半額程度の報酬を想定。

【中医協】2科目の再診料、半額程度を想定- 厚労省

 厚労省案では、一般病棟がある病院や特定機能病院、専門病院が算定する7対1入院基本料の算定要件のうち、入院患者の平均在院日数を短縮し、看護必要度の基準を満たす患者の割合を引き上げ、どちらかを満たせなかったら算定不可とした。ただし、病院への急激な影響を避けるため、4月以降の算定については、10対1入院基本料に切り替える病棟に限って、一定の猶予期間を設ける。

【中医協】「7対1」入基料の要件を厳格化- 在院日数を短縮、看護必要度は引き上げ

 厚労省は、病院勤務医の負担軽減や処遇改善を要件とする診療報酬項目に6項目を追加する案を示し、了承された。このうち「病棟薬剤業務実施加算」など5項目は、12年度改定で新設されるもの。これで勤務医対策の点数は、現行の8項目から14項目に拡大する。

【中医協】勤務医負担減の点数に6項目追加- 5項目が新設

 薬剤師の病棟業務の評価をめぐる議論は、病院勤務医の負担軽減策の一環として加算を新設することで決着。厚労省案が大筋で了承された。これに伴い、薬剤管理指導料への医薬品安全性情報等管理体制加算は廃止される。

【中医協】病棟薬剤師評価、加算新設で対応- 安全性情報等管理体制加算は廃止

■30日(月) 中医協総会

 厚労省は12年度診療報酬改定で、生活習慣病や小児、呼吸器疾患に関する入院基本料の加算や、医学管理料を算定する場合、屋内の全面禁煙を各報酬の施設基準に加えることを提案。受動喫煙対策の強化を図ることが狙いで、総合入院体制加算やハイリスク分娩管理加算など22項目を例示した。

【中医協】全面禁煙を施設基準に追加へ- 受動喫煙対策を強化、厚労省

 厚労省は、9割超の医療機関が算定している「栄養管理実施加算」と「褥瘡患者管理加算」を入院基本料と特定入院料で包括し、12年度報酬改定で報酬を引き上げる方針を示し、了承された。具体的な引き上げ幅は今後、総会で協議する。

【中医協】2加算包括し入基料引き上げへ

 DPC対象病院ごとに設定している現行の「調整係数」について厚労省は、病院群ごとに「基礎係数」を設定する形に切り替える時期を、当初の説明から2年間延長する方針を示した。25日の総会では、今後3回の改定を経て16年度に完全移行させる方針だったが、その後に試算した結果、それでは12年度改定で、DPC対象病院の経営状況が急激に変化し過ぎる恐れがあることが判明したという。

【中医協】調整係数の完全移行を2年延期へ- 「影響大き過ぎ」5日で方針変更

 医師が後発品のある医薬品を一般名で処方した際、処方せんの交付一回につき算定できる加算を新設することなどを厚労省が提案、了承された。後発医薬品の使用促進策の一環で、処方せんを見た患者からの問い合わせへの対応など、一般名処方に伴う医療機関側の負担に配慮するための措置。

【中医協】一般名処方で加算を新設へ