厚生労働相の諮問機関、社会保障審議会は25日、平成24年度の介護報酬(介護サービスの公定価格)改定案を小宮山洋子厚労相に答申した。報酬全体を1・2%増やし、在宅や重度の要介護者向けサービスに重点配分。ホームヘルパーなどが高齢者の家を昼夜を問わず定期訪問する「24時間地域巡回型サービス」を24年度に創設し、施設から在宅介護への移行を進める。新たな報酬単価は4月から適用される。

 介護報酬は3年ごとに見直されており、4回目となるが、民主党政権での改定は初めて。プラス改定は21年度の3%に続き2回連続となる。給与水準が全産業平均の7割にとどまる介護職員の処遇改善に向け、「処遇改善加算」を新設して職員に1人当たり平均月1万5千円が上乗せ支給されるようにした。

 自立支援を進めるため、老人保健施設では、早期退所に向けた計画を策定した事業者への加算を新設する。重度化予防でリハビリを積極的に行った訪問介護事業者や施設事業者にも報酬を加算する。

 一方、掃除や調理など家事全般を手助けする「生活援助」は、時間区分を「30分以上60分未満」「60分以上」の2つから「20分以上45分未満」「45分以上」に改定して効率化する。施設介護も、報酬単価引き下げなどで効率化する一方、症状が重い認知症患者を受け入れた特別養護老人ホームに加算するなど重度者向けサービスにより特化させる。

 24時間地域巡回型サービスは、1人暮らしや重度の要介護者でも自宅にいながら1日に複数回のサービスや訪問看護が受けられる仕組み。ただ、今回の改定により65歳以上の高齢者の保険料が月額平均で5千円程度に上がる可能性がある。(産経新聞)