厚生労働省の2012年度予算案で、老人保健福祉関係分は11年度当初予算から1321億円(5.8%)増の2兆4273億円だった。在宅サービス拠点の整備を掲げ、12年度からスタートする複合型サービスや定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)の事業所開設に必要な備品購入費の支援など、「地域での介護基盤の整備」には57億円を計上した。

 地域での介護基盤の整備では、訪問看護ステーションの大規模化やサテライト型事業所の開設に必要な経費も支援する。また、低所得高齢者向けの小規模養護老人ホームの整備や、都市型軽費老人ホームの整備、介護療養型医療施設の転換なども促進させる。

 また、「地域包括ケアの推進」には38億円を計上。このうち、地域包括支援センターの多職種連携機能を強化する新規事業「地域ケア多職種協働推進等事業」には7.7億円を盛り込んだ。地域ケア会議の運営で指導的な役割を担う人材、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職、地域保健を担う医師・保健師・管理栄養士などの確保を支援する。

 さらに、「閉じこもり」や「うつ」などで介護予防事業に通うことが困難な高齢者向けに、生活機能の低下を防ぐための訪問型介護予防プログラムを開発し、そのマニュアルを作成する新規事業「市町村介護予防強化推進事業」には2.8億円を盛り込んだ。

 介護給付に対する国の負担金などを含む「安定的な介護保険制度の運営」の項目では、プラス1.2%の介護報酬改定率を踏まえ、2兆4033億円を計上した。11年度末で介護職員処遇改善交付金が終了するため、12年度以降は介護報酬に加算を設けて処遇改善に対応する。加算を算定するための要件として、「これまで講じてきた処遇改善の措置と同様の措置」を求める。社会保障審議会介護保険部会などで議論されてきた40-64歳が支払う介護保険料(第2号保険料)への総報酬割導入については、12年度は見送り、引き続き検討を進める。

■介護基盤整備基金、1年延長へ
 特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなどの整備を推進する「介護基盤緊急整備等臨時特例基金」を12年度末まで1年間延長する。同基金は11年度末で終了予定だったが、一定程度の基金が残る見通しのため、新たに予算を確保することなく制度を延長することにした。12年度からは既存の事業だけでなく、複合型サービスや、24時間訪問サービスの事業所を整備する事業にも活用できるようにする。(CBニュース)