認知症の人と家族の会は、12月5日、介護保険部会、介護給付費分科会の審議についての見解「再び、介護保険が危ない!」を発表した。

同会は昨年、介護保険部会の制度の見直しについて、「介護保険は危ない!」と題する見解を明らかにした。その内容は、介護サービスの充実なしに利用者の負担だけが増える方向を示唆することへの警鐘だった。

その後、法改正が行われて、「要支援・軽度の要介護者の利用負担」「ケアプラン作成の利用者負担」「一定所得者の利用負担の引き上げ」については実施されないものと思っていたところ、今年10月から急遽審議が再開された。

同会は、こうした経過を踏まえて、次の点を要望している。

1) 介護保険法改正に伴う、介護予防・日常生活支援総合事業の利用については、利用者が選択できるものとする。

2) 定期巡回・随時対応型サービスを新設後も、認知症の人に有効に対応するため従来の滞在型も強化する。

3) 従事者の処遇改善は、利用者の負担を増やすことなく行う。そのため処遇改善交付金は一般財源で継続する。

4) 総報酬割、給付に応じた自己負担割合、ケアプランの利用者負担、一定以上の所得者の負担、多床室利用者の負担、補足給付の資産の勘案など、利用者・被保険者の負担増につながる事項が目白押しであるが、これ以上負担が増えれば「高福祉応分の負担」の限界を超えるもので、認められない。

5)サービス提供体制の効率化・重点化として、要支援者への給付の検証なども記載されているが、自立支援の名目で認知症の人に対する給付が削減されることなどがあってはならない。

最後に、「困難な境遇に陥ることに対し大きな不安があっては、人は安心して暮らすことができない。困難の度が増すほど負担が増える制度の下で、どうして安心して暮らすことができるか。役目を果たせない介護保険制度では、保険の意味を成さない」と言明している。(ケアマネジメントオンライン)