11月19日に都内で開催された本間清文氏セミナー「教科書が教えてくれないケアマネジメント術」、ふたつめのテーマ「連絡調整・介入の基本」。

このテーマ「連絡調整・介入の基本」では、医療との連携が講義の中心。コミュニケーション不全の構造的な原因を知るために3人一組のミニワークから始まった。「Aさんは、Bさんが昨夜何を食べたかあててください」というもの。簡単なミニワークにいくつかのルールや仕組みが用意されており、参加者は体験しながら医療-介護のコミュニケーション不全が起こる構造的な原因を理解できた。そしてケアマネはこの構造を把握した上で医療・介護、両者の情報をすり合わせ、介入していかなければならない。それら退院時の際に起こりうる傾向を対策を実際の事例を示しながら分かりやすく解説していった。

また、利用者の状態に大きな変化がないにも関わらず、基準省令上、サービス担当者会議や照会などを行わなければならない場合に、大きな病院からの回答がなく困っているケアマネも多い。それに対しても勤務医の状況や個人情報利用同意書、そして照会内容などすべてを医師が回答しやすくすることで回答率を高める方法を紹介。

さらに「ケアプランの根拠を考える」では、医療のように保険給付の根拠が明確になりにくい生活援助サービスや認知症への給付のあり方をどう算定していくかという、ケアマネが常に頭を悩ませる問題に対して解決策のヒントを提示。

例えとして中古で買った車が、事故によって破損した場合、新車に買い替える保障はない。介護保険も制度設計としては「要介護状態」を保険事故として給付が行われるものであるため、原則的にはこの考えが応用できるという。

例えば、「同居だけど二世帯住宅だから掃除をしてほしい」というニーズがあった場合、掃除をサービスに加えるかどうかの必要を見極めるヒントは、入院前掃除をどうしていたかが大きく関係してくる。入院前から2階のお嫁さんが掃除をしていた場合は、その後も掃除はお嫁さんが継続する場合が多い。しかし、もともと嫁は掃除をしていなかったにも関わらず、高齢者が要介護状態となったことにより仕方なく掃除をしなければならなくなった場合は、「要介護状態(という保険事故)により新たに生じた介護の手間」となるために介護給付の必要性が高くなる。

「足の踏み場もない家を掃除してほしい」というニーズも同様だ。要介護になる前から掃除が行き届いていなかった家の場合は、掃除サービスはNGとなる可能性が高く、要介護になったことで生じた食べこぼしや紙おむつの掃除・片付けは保険給付対象となる可能性が高まる。その他、認知症高齢者のニーズの見極め方や支援方法、とっつきにくい家族へのアプローチやマネジメント手法のなど一つひとつ現場で戸惑いがちなポイントを自らの実践論を元に語り、その明解な解説に、参加者の誰もが納得の表情を示していた。(ケアマネジメントオンライン)