政府の行政刷新会議(議長=野田佳彦首相)が行う「提言型政策仕分け」の「介護サービスの機能強化と効率化・重点化」で、財政当局側が提示する論点が21日、明らかになった。軽度者(要支援、要介護1、2)や、現役世代並みの所得がある利用者の自己負担割合を、現行の1割から2-3割まで引き上げる必要性などが指摘されている。介護サービスの仕分けは、22日午後2時40分から行われる予定。

 介護保険の費用に関する論点では、医療保険制度で、現役世代並みの所得がある高齢者(年収383万円以上)に、3割の自己負担を求めている点に言及。介護保険でも、現役世代並みの所得がある利用者の自己負担を2-3割に引き上げるべきとしている。また、ドイツでは要介護2までは保険対象外となっている点などを挙げた上で、軽度者(要支援、要介護1、2)の自己負担割合も2-3割に引き上げるべきとした。

 さらに、施設に偏ったサービス提供を改め、在宅介護への転換を進めるため、介護保険サービスが担保された高齢者仕様の住宅の普及が必要と指摘。また、こうした高齢者用住宅でのサービスの質を担保するため、自治体による定期的な検査が必要ともしている。

■特養の介護報酬「引き上げの必要ない」

 介護職員の処遇を改善するための方策に関する論点では、介護職員処遇改善交付金(2012年3月末で終了)が一時金として支給されるケースが多かった点に触れ、▽介護職員の人件費は一時的な基金でなく、介護報酬で対応すべき▽介護報酬を加算する場合は、人件費に充てるよう条件を付けるべき―とした。ただ、特別養護老人ホームについては、11年度介護経営実態調査などの結果から、「収支差率が大幅に改善しており、全体的な介護報酬の水準は引き上げる必要はないのではないか」としている。

 そのほか、サラリーマンが負担する介護保険料の分担方法に関する論点では、「来年度から総報酬割を一部導入すべき。中期的には、すべて総報酬割とすべき」としている。(CBニュース)