厚生労働省は11月14日、第85回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。
この日の議題は、「認知症への対応について」、「介護職員によるたんの吸引等の実施について」、「さらに議論が必要な論点について」、「介護サービスに関する関係団体懇談会における主な意見」。

会合ではまず、認知症への対応、介護職員によるたんの吸引などの実施という2点において、厚労省から論点が示された後、意見交換が行われた。

厚労省が示した論点は次の通り。

【認知症への対応について】
○論点1:看取り介護加算の見直しについて
現行の看取り介護加算について、死亡日などにおける評価を行ってはどうか。

○論点2:
グループホームにおける短期利用共同生活介護(空床利用)、共用型認知症対応型通所介護の要件として設定されている「事業所開設後3年以上」の規定を撤廃してはどうか。

○論点3:
グループホームについて、2ユニットに1名の夜勤職員の配置を可能としている現行の例外規定を廃止(原則1ユニット1名に)してはどうか。

○論点4:
グループホームの「夜間ケア加算」を見直し、夜間における職員体制の強化を図ってはどうか。

○論点5:
グループホームについて、①フラット型となっている現行の介護別の基本報酬の見直し、②「1ユニット」「2ユニット以上」別の報酬設定による見直し――を行う必要があるのではないか。


【介護職員によるたんの吸引などに実施について】
○論点1:事業所の体制の評価について
たんの吸引などを実施する事業所の体制を評価することとし、重度の利用者が一定程度いることを評価する加算の要件に追加することとしてはどうか。

○論点2:訪問看護のとの連携について
登録事業所である訪問介護事業所と連携し、訪問介護員の訪問に同行して指導などを行う訪問看護事業所について評価してはどうか。

認知症への対応関連では、論点3、4については概ね賛成の意見だった一方で、論点1、5に関しては意見が分かれた。
このうち、論点1については、賛成する意見も挙がったものの、武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)の「本来のグループホームの役割は何か。看取りの場なのか、軽度な人を入れて確実に(在宅に)戻すことか?」というコメントをはじめ、グループホームの本来の役割を再考すべきという意見が挙がった。

また、介護職員によるたんの吸引などの実施については、論点2に対して、三上裕司委員(日本医師会常任理事)が、「たんの吸引は医行為。看護師が同行ということは、看護師がいるのであれば医療職がやるべき」と述べたほか、同様の意見が相次いだ。

齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)も、「訪問看護師の知恵、サポートを導入してマニュアル、手順などを整備していることは評価すべき」と述べた一方で、「同行しているときには看護師がやるべき。同行ではなく、違う形で訪問看護師のサポートを評価すべき」と主張した。(ケアマネジメントオンライン)