中央社会保険医療協議会総会と社会保障審議会介護給付費分科会が、9-15日に2回ずつ開催されました。中医協総会では、在宅患者への訪問診療を評価する「在宅患者訪問診療料」の一部引き上げを厚生労働省が提案しました。介護給付費分科会では、特別養護老人ホーム(特養)など介護保険3施設の多床室利用者から、介護報酬改定に伴い室料の自己負担を求めることを提案し、注目を集めています。また、健康保険組合連合会(健保連)など中医協の支払側6団体は11日、診療報酬引き上げに反対する内容の要請書を小宮山洋子厚生労働相あてに提出。要請書では、厳しい経済情勢や各保険者の財政状況を踏まえると、国民の負担増につながる報酬の引き上げには、「理解と納得が得られない」と主張しています。(CBニュース)

■9日(水)中医協総会
 厚労省保険局の鈴木康裕医療課長は、2010年度の診療報酬改定で見直された「在宅患者訪問診療料」について、同一日に同じ居住系施設内(有料老人ホームなど)の複数の患者を訪問した場合の報酬の引き上げを検討する考えを表明。一方、在宅療養支援病院に関しては、「200床未満または半径4キロメートル以内に診療所が存在しないこと」とする現行の要件を堅持する意向を示した。
【中医協】訪問診療料の引き上げ検討へ- 有料老人ホームなどの複数訪問で

 10月中旬に開催した社保審介護給付費分科会との打ち合わせ会の内容を厚労省が報告。打ち合わせ会では、12年度の同時改定に向け、双方の審議会の代表が医療と介護の連携に関して意見交換したが、中医協の委員からは、分科会側の代表に介護現場の委員がいなかったことなどへの不満が噴出した。
【中医協】介護側との打ち合わせ会に不満も- 「医介連携」で診療側

 政府が掲げる「12年度の後発医薬品の数量シェア30%以上」の達成に向け、後発品の使用促進策の本格的な検討をスタートさせた。論点は、▽「後発医薬品調剤体制加算」や「後発医薬品使用体制加算」の要件▽医師による一般名処方▽後発品への変更不可欄を医薬品ごとに設けるなど、処方せん様式の変更―など。
【中医協】後発品使用促進策の検討を開始

■10日(木)社保審介護給付費分科会
 12年度介護報酬改定で介護保険3施設の多床室利用者から、室料の自己負担を求めることを厚労省が提案。介護保険施設の個室化を推進するのが目的。特養の利用者に関しては8000円程度の負担増を想定しており、これによって捻出した財源をユニット型個室利用者の負担軽減に充てる方針。
介護3施設の多床室に室料負担導入を提案―厚労省、個室利用者の負担軽減原資として

 利用者の在宅復帰や在宅療養を支援する機能が充実した「在宅復帰・在宅療養強化型老健」(仮称)向けの新たな基本サービス費の設定を提案。自宅などに復帰した退所者の割合やベッド回転率の高さが要件となる。一方、在宅復帰・在宅療養強化型老健に該当しない老健施設に関しては、報酬の引き下げを提案した。
「在宅復帰・療養強化型」老健の導入提案―厚労省、その他の老健は報酬引き下げも

 医療の必要性が高い人を多く受け入れる「強化型」の介護療養型老人保健施設(転換老健)の報酬を新設し、高く評価することなどを提案。一方、健康保険法改正で廃止期限が17年度末まで6年間延長された介護療養型医療施設の報酬については引き下げを検討し、転換を促す。
介護療養病床からの強化型転換老健を高評価―厚労省、転換促進のメニュー提案

 「サテライト型小規模多機能型居宅介護」の創設を提案。一つの事業所が同じ日常生活圏内で出張所(サテライト型事業所)を運営できる制度で、人材の効率的な配置と有効活用につなげるのが狙い。
サテライト型小規模多機能の創設を提案―厚労省

 介護付有料老人ホームなどの特定施設入居者生活介護の基準・報酬の見直し案を提示。家族介護者支援(レスパイトケア)を充実させるため、空室を活用して短期利用(ショートステイ)を実施できるようにする。
介護付有老ホームでショートステイ可能に―厚労省提案

■11日(金)中医協総会
 厚労省は、入院中に要介護認定を申請した患者が退院後、要介護度の判定が下りるまでの間、指示書に基づいた訪問看護を医療保険で可能にすることを提案した。要介護者については通常、介護保険が優先されるため、支払側からは「医療保険と介護保険の原則を変えるのか」などの批判も。一方で、厚労省案に賛同する声も上がった。
【中医協】要介護者に医療保険で訪問看護- 厚労省案に賛否

 訪問看護に関しては、看護補助者の看護職員への同行を、診療報酬で評価することを提案。看護職員が行わなくてもよい業務を看護補助者に分担させるのが狙い。また、長時間(2時間超)の訪問看護を評価する「長時間訪問看護加算」の算定対象に、「超重症児」と「準超重症児」を加えることも提案した。
【中医協】看護補助者の訪看同行を評価へ- 厚労省が提案

■11日(金)支払側6団体が診療報酬引き上げに反対
 健保連など中医協の支払側6団体は、診療報酬のプラス改定に反対する要請書を小宮山厚労相あてに提出。健保連の白川修二専務理事は、6団体が同日、厚労省内で開いた記者会見で、「『前回改定は、大病院や急性期医療に手厚かったから、次は中小病院や診療所の番だ』という考え方は受け入れ難い」と主張した。
診療報酬引き上げは「国民の理解得られぬ」- 健保連など6団体が要請

■14日(月)沢井製薬決算説明会
 9日の中医協総会で、後発医薬品の使用促進策の論点に、「医師が一般名処方を行うこと」が挙がったのを受け、「(一般名処方を行う処方元に加算が付けば)変更不可の処方せんの割合がかなりゼロに近づくだろう。さらに、(保険薬局での使用促進策として)『後発医薬品調剤体制加算』の区分がランクアップすれば、大きな使用促進になる」と期待感を表明した。
中医協の議論受け後発品使用促進に期待- 沢井製薬社長

■14日(月)社保審介護給付費分科会
 厚労省は、たんの吸引などを実施する特養と訪問介護事業所を加算で評価することを提案した。12年4月から一定の研修を受けた介護職員らが、利用者に対するたんの吸引や経管栄養を行えるようになることを踏まえた内容。
たん吸引などの実施事業所、加算で評価へ―厚労省、介護給付費分科会に提案

 身体介護中心型の訪問介護に「20分未満」の時間区分を創設することを提案。ただ、対象となる利用者を「要介護3以上」など重度者に限定するほか、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)への参入意思も事業者側に求めるなど、24時間訪問サービスへの移行を念頭に置いた要件を設定する。
訪問介護の身体介護、20分未満区分を創設―24時間訪問への移行目指す

 認知症高齢者グループホームについては、夜間の職員体制を強化する方針。2ユニットで1人の夜勤職員配置も認めている現行の規定を廃止し、1ユニット1人の配置を徹底。夜間・深夜に基準よりも手厚く職員を配置している場合に算定できる「夜間ケア加算」の引き上げも検討する。
認知症GH、夜間の職員体制強化へ- 厚労省、基本報酬の体系見直しも