厚生労働省は14日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)で、2012年度改定での認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)の基準・報酬の案を示した。夜間の職員体制の強化や、要介護度ごとの報酬の差が小さい「フラット型」の基本報酬の見直しなどを提案した。

 夜間の職員体制強化に向け厚労省は、2ユニットで1人の夜勤職員配置を認めている現行の例外規定を廃止し、1ユニット1人の配置を徹底することを提案。さらに、夜間と深夜に常勤換算で1人以上の介護従事者を追加で配置している場合に算定できる「夜間ケア加算」(1人当たり25単位/日)については、「夜勤複数体制を組むのは、25単位では困難」(勝又浜子・厚労省老健局認知症・虐待防止対策推進室長)なことから、報酬引き上げを検討し、夜勤職員の配置の充実を促す。

 また、要介護度が高くなっても増加幅がほかのサービスより緩やかな「フラット型」の報酬体系については、利用者の平均要介護度の低い事業所ほど収支差率が高い傾向にあるため、報酬の“傾斜”をきつくする方針=グラフ=。ユニット数が多いほど収支差率が高い傾向あることを踏まえ、「1ユニット」と「2ユニット以上」で別の報酬を設定することも提案した。

 このほか、▽死亡日から死亡する30日前まで一律に設定している看取り介護加算(80単位/日)は、死亡日近くを高く評価する▽短期利用は「開設後3年以上」の制限を撤廃する―との案も示した。

 フラット型の報酬体系の見直しが提案されたことについて村川浩一委員(日本社会事業大教授)は、「グループホームをミニ特養のような重介護施設にするのはナンセンス」と述べ、現行の報酬体系の堅持を主張。これに対し池田省三委員(地域ケア政策ネットワーク研究主幹)は、「今のフラットな介護報酬は、要介護1と2では在宅の区分支給限度額を大きく上回っている。これは不公正だ」と、見直しを支持した。(CBニュース)