全国訪問介護協議会はこのほど、1日複数回の定期的な訪問と、随時の対応を提供する新サービス「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(24時間訪問サービス)をテーマとしたセミナーを開いた。この中で、訪問介護事業所を経営する同協議会の荒井信雄会長が講演し、「事業委託ができれば、今のインフラでできる」と指摘。深夜の定期巡回業務などをほかの事業所に委託できるかどうかが、訪問介護事業者の24時間訪問サービスへの参入を促進するカギになるとの見方を示した。

 厚生労働省が社会保障審議会介護給付費分科会に示している24時間訪問サービスの人員基準案によると、定期巡回サービスを担う訪問介護員と看護職員は、サービスの提供に「必要な数以上」がいればよい。一方、随時対応サービスを担う訪問介護員は常時1人以上確保されている必要がある。このほか、終日の随時訪問サービスや深夜の定期巡回サービスなど、一部の業務をほかの事業所に委託できるようにすることも提案されている。

 荒井会長は、▽夜間のサービス提供が難しい▽人員が不足している▽事業開始当初は赤字が見込まれる―などが、事業者の24時間訪問サービスへの参入をためらわせていると指摘。その上で、一部業務の委託を可能にする提案が実現すれば「昼間の定期巡回だけをやり、夜間(の業務)はどこかに依頼することができる。今の滞在型訪問介護のインフラで(24時間訪問サービスに参入)できる」と述べた。
 荒井会長はこのほか、24時間訪問サービスへの参入が促進される条件として、▽オペレーターが利用者からコールを受ける際、携帯電話などを活用できる▽オペレーションセンターの設置を求めない▽随時対応の人員が定期巡回にも従事できる―などを挙げた。

■25年の生活支援、介護保険の対象外か―慶大・田中教授
 この日のセミナーでは、2025年のケアの在り方を提言した「地域包括ケア研究会」の座長を務めた慶大大学院の田中滋教授が、介護保険の将来像をテーマに講演した。
 田中教授は、25年における滞在型の訪問介護について、「間違いなく存在している。ただ、生活支援のサービスは(介護)保険の外になり、保険給付の対象になるのは退院直後1か月間の生活機能を取り戻すための支援など、限定的な形になるだろう」と述べた。(CBニュース)