10日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)の会合で厚生労働省は、2012年度介護報酬改定で医療の必要性が高い人を多く受け入れる「強化型」の介護療養型老人保健施設(転換老健)の報酬を新設し、高く評価することなどを提案した。一方、健康保険法改正で廃止期限が17年度末まで6年間延長された介護療養型医療施設の報酬については引き下げを検討し、転換を促す。

 現行の転換老健は、(1)「医療機関からの新規入所者の割合」から「自宅などからの新規入所者の割合」を差し引いた値が35%以上(2)「たん吸引か経管栄養を実施された入所者が15%以上」または「認知症高齢者の日常生活自立度ランクMの入所者が20%以上」のいずれかに該当―を満たす必要がある。
 これに対し厚労省が提案した強化型の転換老健は、(2)に代えて、「たん吸引か経管栄養を実施された入所者が20%以上」と「認知症高齢者の日常生活自立度のランク4またはMの入所者が50%以上」の両方に該当する必要がある。医療必要度の高い患者を多く受け入れることになるため、厚労省は強化型転換老健の介護報酬を新設して高く評価する方針。一方で介護療養型医療施設の報酬については引き下げを検討する。

 また、介護療養型医療施設が有床診療所を併設した転換老健となるケースにおいて、転換老健として報酬を算定できるベッド数は、転換前の病床数から有床診療所の病床数を差し引いた数が上限となっている現行の仕組みを改め、有床診療所の病床数分も転換老健として報酬算定できるようにする。

 さらに、転換老健のターミナルケア加算(死亡日から死亡する14日前までが315単位/日、死亡する15日前から30日前までが200単位/日)の見直し案も提示した。死亡日の評価を引き上げるとともに、施設か居宅で死亡した場合に算定できるとする要件を撤廃し、医療機関で死亡した場合などにも算定できるようにする。加算の単位数も従来型老健より高く設定する。

 このほか、11年度末までに老健に転換すれば、介護療養型医療施設と同じ床面積基準で改修時期まで運営できる経過措置については、17年度末までに転換した場合でも適用されるよう見直す方針も示した。

 意見交換では勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)が、「認知症の人の療養とケアを両立できる介護療養(型医療施設)は大切」と述べ、介護療養型医療施設の存続を求めた。(CBニュース)