厚生労働省は10日、利用者の在宅復帰や在宅療養を支援する機能が充実した介護老人保健施設「在宅復帰・在宅療養強化型老健」(仮称)を対象に、介護報酬上で新たに基本サービス費を設定することを、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)に提案した。自宅などでの生活に復帰した退所者の割合やベッド回転率の高さが、在宅復帰・在宅療養強化型老健の要件となる。また厚労省は、在宅復帰・在宅療養強化型老健に該当しない老健について、報酬を引き下げる案も示した。

 このほか、老健に関する提案としては、▽現行の在宅復帰支援機能加算の要件に、「ベッド回転率が高い」を加える▽利用者が入所する前に自宅などを訪問し、退所を念頭に置いた施設サービス計画を策定したり、診療方針を決めたりした場合、加算で評価する▽老健内で肺炎と尿路感染症の治療を行った場合、加算で評価する。評価の限度は1か月に7日まで▽現行のターミナルケア加算に“傾斜”を付け、利用者の死亡日直前を手厚く評価する=図=▽大腿骨頚部骨折や脳卒中に関する「地域連携診療計画」に基づき患者を受け入れたり、計画管理病院に文書で診療情報を提供したりした場合、介護報酬上の加算で評価する-などが示された。

 この提案に対し、山田和彦委員(全国老人保健施設協会会長)は、老健の利用者の中には、老健関係者と地域の主治医の協力の下、亡くなる直前になって自宅に帰る利用者もいると指摘した上で、「こうした自宅の看取りについても、(老健側も報酬で)評価してほしい」と述べた。また、「肺炎や尿路感染症の治療だけでなく、帯状疱疹を治療した場合も加算に加えるべき」と主張した。池田省三委員(地域ケア政策ネットワーク研究主幹)は、「老健に入所している認知症患者のBPSD(周辺症状)が改善された場合なども、(報酬上で)評価してもよいのではないか」と述べた。(CBニュース)