厚生労働省は7日、「介護保険サービスに関する関係団体懇談会」の3回目の会合を開き、2012年度の介護報酬改定に向け、介護関係団体から意見を聴いた。各団体からは、特別養護老人ホームにおける医療提供体制の充実と、それに見合った介護報酬上の評価を求める声などが上がった。

 全国個室ユニット型施設推進協議会の諸隈正剛副会長は「特養に入った途端、なじみの医師との関係が切れてしまうのはいかがなものか」と述べ、診療所の医師や訪問看護ステーションの看護師が、もっと自由に特養内で診療できるシステムの構築を訴えた。

 全国社会福祉施設経営者協議会(経営協)の廣江研・介護保険事業経営委員長も、在宅で受けられるのと同等のリハビリが受けられる加算を創設すべきと主張。さらに、「在宅(と同等の)ターミナルが特養で行われるような体制を整えると同時に、はっきりとした加算を付けてほしい」と述べた。

 全国老人福祉施設協議会の桝田和平・介護保険事業経営委員長は、社会福祉法人の社会貢献制度の一環として設けられている低所得者への利用者負担の減免制度について、「活用しようとしても市町村が乗り気でなく、実現できない場合がある」と指摘。さらに、経営協の廣江・介護保険事業経営委員長も、減免制度に対し消極的な市町村が存在している問題を何らかの形で解決した上で、それでも低所得者への減免制度を実施しない社会福祉法人がある場合は、「何らかのペナルティーがあってしかるべき」と述べた。

■要支援の負担引き上げに反対の声も

 全国特定施設事業者連絡協議会の市原俊男代表理事は、要支援の利用者のうち、高所得者の負担の引き上げが検討されている点について、「引き続き現状維持を」と反対。ただ、どうしても財政上の観点から引き上げが必要な場合は、「例えば要支援者全体を2割負担にした上で、低所得者などの弱者を減免するなどの工夫をすべき」と提案した。全国有料老人ホーム協会の灰藤誠事務局長も同様の提言をした。

 24時間在宅ケア研究会の時田純代表理事は、来年4月に定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)が導入される一方、訪問介護など、既存の類似サービスが併存している点を問題視。「(各事業者が)24時間訪問サービスへシフトするよう政策誘導することが望ましい」と述べた。

 今回の会合で出された意見については、厚労省で整理し、社会保障審議会介護給付費分科会に報告する方針。(CBニュース)