厚生労働省は10月31日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)で、2012年度の介護報酬改定に向けた居宅介護支援や介護予防支援に関する論点を示した。地域包括支援センターの機能を強化するため、同センターが居宅介護支援事業所に委託できる介護予防支援の件数制限の廃止などが盛り込まれている。

 示された論点は、(1)サービス担当者会議やモニタリングを適切に実施していない居宅介護支援事業所に対する運営基準減算の強化(2)医療機関に赴き情報提供した場合、「医療連携加算」で高く評価(3)在宅患者緊急時等カンファレンス(診療報酬)にケアマネジャーが参加した場合、報酬上で評価する(4)地域包括支援センターの居宅介護支援事業所に対する介護予防支援の委託制限(1人8件まで)の廃止-など。このうち、(1)の運営基準減算については、「30%減算。減算が2か月以上継続した場合は50%減算」という現行制度を、「50%減算。減算が2か月以上継続した場合は、全額を減算」に強化するよう提案されている。

 この提案に対し、池田省三委員(地域ケア政策ネットワーク研究主幹)は、「できるケアマネと、できないケアマネを区別する方法が必要」と指摘。運営基準減算の強化案については、50%減算ではなく、最初から全額減算にすべきと主張した。また、村川浩一委員(日本社会事業大教授)は、利用者が自らケアプランを作成することができる点をアピールする必要があると述べた。
 一方、木村隆次委員(日本介護支援専門員協会会長)は、「利用者の自立支援に資するケアマネジメントを実践するケアマネジャーが、全国に数多くいることも事実」とした上で、要介護度が上がれば基本単位が上がる仕組みを見直し、利用者の状態の維持・改善に貢献したチームに対する評価が必要と訴えた。(CBニュース)