中央社会保険医療協議会は10月19日の総会で、周産期医療の診療報酬上の取り扱いを議論。厚生労働省側は、NICU(新生児集中治療室)の入院患者の転院や在宅療養を促したい考えを示しました。21日には、中医協と社会保障審議会介護給付費分科会の合同打ち合わせが開かれ、医療と介護の連携体制の構築をめぐり意見を交わしました。(CBニュース)

■10月19日(水)中医協
 周産期医療をめぐり議論。厚生労働省は論点として、▽NICUに入室する重症児の後方病院への転院や、在宅療養への移行の推進▽周産期・新生児医療に直接かかわる診療報酬の見直し―を挙げた。
 2010年度の診療報酬改定では、NICU入室児の後方病院への転院などを促すため、「新生児特定集中治療室退院調整加算」を新設したが、同加算を算定している病院と、算定していない病院のNICU、GCU(新生児治療回復室)の通算在室日数を比べると、90日を超える患者の割合は共に4%台で、差がなかったという。
【中医協】重症児の在宅移行も論点に

 また、10年度報酬改定で新設した「院内トリアージ加算」に関しても議論。中医協の部会が行った調査で、同加算を算定している医療施設の8割強が、トリアージの対象年齢を限定していないとの結果が出たため、厚労省は、年齢を区切った評価の是非を論点の一つとして示した。総会では、評価の対象を小児患者以外にも拡大する方向で一致した。
【中医協】トリアージの評価対象拡大で一致

 10年度報酬改定で新設した「地域医療貢献加算」について、届け出を行っている診療所の割合が高い都道府県ほど、75歳以上人口当たりの救急車出動件数が少ない「逆相関」の関係があるとするデータを厚労省が示した。
 ただ、都市部で地域医療貢献加算の届け出割合が低い傾向があり、診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、単純に逆相関があると言い切れるか疑問を呈した。
【中医協】貢献加算と救急搬送に「逆相関」

■21日(金)小宮山洋子厚労相 閣議後記者会見
 来年度以降の介護職員の処遇改善策について、小宮山厚労相は「今検討を始めたところ。介護職員処遇改善交付金の形で続けるのか、介護報酬の中に組み込むのか、どちらにするかは決めていない」と述べた。「政府が12年度に介護報酬を引き上げる方向で調整に入った」とする一部報道を受けてコメントした。
介護労働者4万円賃上げは堅持- 小宮山厚労相


■21日(金)中医協
 東日本大震災の被災地への対応を審議。その結果、180日を超える入院患者に対する入院基本料の減算措置について、震災で後方病院や自宅がなくなり入院日数が延びた患者には適用しないことで合意した。厚労省は近く告示を改正する方針。
【中医協】入院180日超、被災地減算なし

 また、被災地から要望のあった診療報酬上の特例的な加算として、「離島加算」の対象に、福島県沿岸部の「相双地域」を加える案を厚労省が示した。しかし、委員から反対が相次ぎ、前向きな意見はなかった。
【中医協】福島への報酬加算に反対相次ぐ

 このほか厚労省は、災害の発生に対応するため、災害拠点病院を中心とする平時からの体制整備に対する診療報酬上の取り扱いを論点に挙げた。

■21日(金)中医協と介護給付費分科会の打ち合わせ会
 12年度に実施される診療・介護報酬の同時改定に向け、中医協と社保審介護給付費分科会が、初の合同打ち合わせを開いた。厚労省側が提示した論点は、▽入・退院時の医療機関と介護サービス事業者との連携促進▽介護療養病床から介護療養型老人保健施設などへの転換促進―など。
 出席した委員からは、訪問看護やリハビリテーションへの評価を求める意見が上がった。これらの内容は、今後の議論に反映される。
中医協と給付費分科会、初の合同打ち合わせ- 訪看・リハの重要性を指摘する声、相次ぐ

 合同打ち合わせでは、中医協の診療側委員7人が、医療と介護の連携をコーディネートする拠点を地域ごとに設置すべきだとの意見書を連名で提出した。自治体や地区医師会、医療機関が、地域の実情に応じて拠点機能を担い、ネットワーク構築を進めることを提言する内容。中医協の西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は席上、「連携をしっかりすることで、質の向上と効率化の両方に寄与する」とし、今後、議論するよう求めた。
中医協の診療側「医療、介護の連携拠点を」- 給付費分科会との打ち合わせで