厚生労働省は10月17日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)に、2012年度介護報酬改定での短期入所生活介護サービスの基準見直し案を示した。定員の一定割合を空床として確保した場合や、緊急の利用者を受け入れた場合の加算を創設することなどを提案した。

 厚労省の提案によると、加算で評価されるのは過去3か月間、短期入所生活介護の専用床の5%を空床として確保した事業所。さらに、この加算を算定する事業所が居宅サービス計画に位置付けられていない緊急の利用者を受け入れた場合の加算も創設する。これらの加算により、確保した空床に利用者がいれば得られるはずだった報酬に相当する金額が支給される仕組みにするが、一定期間受け入れがない場合は算定できなくする制限も設ける。報酬の支給は、利用者1人で月7日間を限度とする。06年度に創設された緊急短期入所ネットワーク加算(50単位/日)は廃止する。
 また、通所介護事業所などに併設され、市町村が必要と認める場合に報酬が支給される短期入所生活介護の基準該当サービスについては、▽協力医療機関の設定を義務付けることにより、医師配置を不要にする▽居室面積基準を10.65平方メートル(約6畳)から7.43平方メートル(約4.5畳)にする―との基準緩和策を示した。

■短期入所療養介護も緊急受け入れに加算
 介護老人保健施設や医療機関が提供する短期入所療養介護サービスについても、緊急短期入所ネットワーク加算(50単位/日)を廃止し、緊急の利用者を受け入れた場合の加算を創設する案を提示。また、現行制度では病院・診療所が医療ニーズの高い利用者を受け入れた場合に、重度療養管理(120単位/日)で評価しているが、介護老人保健施設がこうした利用者を受け入れた場合も、同様に評価することを提案した。

■医師や看護職員の居宅療養管理指導費、居住場所で区分
 居宅療養管理指導をめぐっては、医師や歯科医師、看護職員が提供するサービスについても、薬剤師などと同様に、利用者が在宅か居住系施設入所者かで報酬単価を区分する案を提示。このほか、▽医師・歯科医師から介護支援専門員への情報提供を必須にする▽緊急時の対応が難しい小規模薬局では、あらかじめ連携した薬局の薬剤師が対応した場合も算定できるようにする―などの案も示した。

■療養通所介護の定員を9人に
 療養通所介護の利用定員については、現行の「8人以内」から「9人以内」に見直すことを提案した。現行の人員基準上、8人の利用者に必要な職員数は5.3人で、実質的に6人が必要。定員を9人に引き上げても必要な職員数は6人で変わらない。(CBニュース)