10月13日に開かれた第38回社会保障審議会介護給付費部会では、社会保障・税一体改革成案をベースに、介護分野における改革についてディスカッションが行われた。

処遇改善効果を継続するために必要な財源について、厚生労働省が提出した資料では、「介護報酬に上乗せすると、+2%改定に相当、この場合、国、地方それぞれに公費財源約500億円の確保が必要」と、介護報酬で確保することは難しい旨が明記。さらに、平成23年介護事業経営実態調査の結果から、「介護事業者の経営状況は全般的に改善しており、介護職員の処遇改善に関しても、事業者の自主的な努力が求められるのではないか」と、各事業所の自助努力を促す一文が記されていた。


これに対して、土居丈朗委員(慶應義塾大学経済学部教授)は、「デフレの下の報酬アップは、ゼロ改定であっても実質的にはプラス。そういう視点で捉えることも重要」と、同調するコメントを発言。

一方で、複数の委員から反対の意見が挙がった。
山田和彦委員(全国老人保健施設協会会長)は、「将来も給与水準が維持できる形で介護報酬に組み込んでほしい。報酬は公定価格で、経営は自己責任というのは…」と訴え、三上裕司委員(日本医師会常任理事)も、「介護報酬に上乗せすると2%相当になる、デフレなのでプラスマイナスゼロでも実質的にはプラスといった議論には不安。介護施設の経営は厳しいため、2%を確保したうえでの改定率を決めてほしい」と述べた。

北村俊幸委員(民間介護事業推進委員会代表委員)も、「確かに努力をしていくものだと思っていますが、経営努力する幅が厳しくなっているのも事実」とコメント。

橋本正明委員(立教大学兼任講師)は、「全体的なフレームはある程度理解する」と前置きした一方で、「全般的には、介護施設の経営状況は改善しているかもしれないが、都市部と地方は違う」、「収入の枠が決まったなかで、都市部と地方の格差は見ておかなければ、都市部の事業者は厳しいことになる」と指摘した。

このほか、消費税の増税を行う一方で、サービスの向上に反映するのかと懸念する意見も複数挙がった。
認知症の人と家族の会副代表理事の勝田登志子委員の代理で出席した田部井氏は、「社会保障・税一体改革成案の具体的案ところをみると充実と効率・重点化が常に一体となっているが、全体としてこれまでよりも良い制度になるのか確証がもてない。今までよりサービスが充実するのかわからないなかで増税というのは…」と、不安を述べた。(ケアマネジメントオンライン)