厚生労働省は9月30日、来年度の介護報酬改定の基礎資料となる「2011年介護事業経営実態調査」の結果(速報値)を社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会(委員長=田中滋・慶大教授)に示した。前回の08年調査に比べ、介護保険3施設や通所介護などで収支差率が改善されていた一方、認知症高齢者グループホームや訪問看護などは悪化した。調査結果は、10月7日に開かれる同分科会に報告される予定。


 今年3月の1か月間の収支状況などを調査した。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や訪問介護事業所、居宅介護支援事業所など20サービスの約3万施設・事業所を対象に実施し、約1万施設・事業所から回答を得た。

 それによると、収支差率が最も高かったサービスは通所介護の11.6%で、前回調査の7.3%から4ポイント超伸びた。これに介護老人保健施設(9.9%、前回調査は7.3%、以下同)と介護療養型医療施設(9.7%、3.2%)、地域密着型を除く特養(9.3%、3.4%)の介護保険3施設が続いており、いずれも収支差率は9%台にアップしていた。このほか、訪問入浴介護(6.7%、1.5%)、福祉用具貸与(6.0%、1.8%)、認知症対応型通所介護(5.9%、2.7%)、訪問介護(5.1%、0.7%)、小規模多機能型居宅介護(5.9%、マイナス8.0%)の各サービスでも収支差率が伸長。今回の調査で唯一赤字だった居宅介護支援の収支差率はマイナス2.6%だったが、前回のマイナス17.0%からは15ポイント近く改善された。

 一方、認知症高齢者グループホーム(8.4%、9.7%)、短期入所生活介護(5.6%、7.0%)、通所リハビリテーション(4.0%、4.5%)、特定施設入居者生活介護(3.5%、4.4%)、訪問看護(2.3%、2.7%)の5つのサービスでは、前回よりも収支差率が悪化していた。

 このほか、前回調査で有効回答数が少なく、分析できなかったサービスの収支差率は、夜間対応型訪問介護が4.6%、地域密着型特定施設入居者生活介護が3.8%、訪問リハビリテーションが3.1%、短期入所療養介護が2.2%、地域密着型特養が1.9%となった。

■給与費割合は減少傾向
 また、前回調査と比較可能な15サービスのうち、訪問看護と特定施設入居者生活介護を除く13のサービスで、収入に対する給与費の割合が減少していた。給与費の割合が高かったのは居宅介護支援の80.4%や訪問看護の80.0%で、最も低かったのは特定施設入居者生活介護の49.0%だった。(CBニュース)