ありがとうの気持ちを込めて | 青池奈津子 オフィシャルブログ 「Encounter」

ありがとうの気持ちを込めて

書こうか書くまいかすごく迷ったんですが、

感謝と新たな出発という気持ちを込めて、宗ちゃんのことをここに記しておきたいと思います。















ニュースでご覧になった方も多いと思いますが、多臓器移植で亡くなった

各務宗太郎くん。

私はある機会から宗ちゃんのお見舞いに行かせてもらっていました。

私がNYにいるんだと知ったときにはすでにPICU(子供の集中治療室)で

眠っていて、とにかく辛い治療に必死に耐えているところでした。

何もできないことがもどかしく、とにかく頑張って!と祈ることしかできない毎日。

もう数週間経ちますが、私はまだなんとなく宗ちゃんが生きているんじゃないか、と

どこか信じられない気持ちでいることがあります。


写真は、先日宗ちゃんとのお別れをするために、宗ちゃんの大事なお友達と皆さんで

クロイスター美術館のある丘に行ってきました。

マンハッタン内にありながら、見晴らしが良く、スカッと空が広く見えるところです。

生前、宗ちゃんが行きたい、と言っていた場所の1つ。

皆で黙祷をしていたら、どこからともなく強い風が吹きました。

友人も感じたと言っていたので、私は宗ちゃんかな、って思っています。

不思議なことって本当にあるんですね。


この後、私たちは宗ちゃんのお母さんのNJのおうちでカレーパーティーをしました。

宗ちゃんが、主治医の加藤先生に元気になったらカレーをご馳走したい、と話していたそうです。

お母さんとお友達が前の晩から大鍋で一生懸命チキンカレーとビーフカレーを作って下さいました。

直接話すことはできませんでしたが、宗ちゃんのお母さんや周りの方々に話を聞くと

本当に本当に可愛くて、優しくて、思いやりがあって、とても利口!!

9年間、ずっと病院暮らしで辛かったはずなのに、周りの人をもてなすのが好きだったそうです。

今回のカレーパーティーもそうですが、あるお友達がお見舞いに来てくれると聞いて

小さなおにぎりを握ってもてなしたこともあるそうです。

何度も苦難を乗り越えてきて、先生たちからは「奇跡の子」だと言われていたそうです。

周りにたくさんの人が集まってくるのを見ていても、いかに魅力的な男の子だったかが

伝わってきます。


こんなに良い子がなんで、と思う気持ちはぬぐえません。

まだたったの9歳じゃない・・・

神様は不公平だ、と言っても仕方ないと分かってはいるんですが・・・。


宗ちゃんは名古屋出身なんですが、夕方になるといつも各チャンネルのグルメコーナーや旅コーナーを

見比べていたそうです。

もしかしたら私のことも見ていてくれたかもしれないね、とお母さんとお話していました。

色々お話したかったな・・・正直、この気持ちはずっと忘れないだろうと思います。


今回のことで色んなことを考えさせられました。

人生を無駄にしないこと、1日1日をもっと一生懸命生きよう、と。

ありきたりかもしれませんが、普通に毎日を過ごしていると、そういったことを

ちゃんと考えるのを忘れてしまいがちですものね。

世の中には宗ちゃん以外にもたくさんの方が様々な理由で大変な思いをしていると思いますが、

とにかく諦めずに頑張って欲しい、宗ちゃんもきっとそう思っているんじゃないかと思います。


最後に、宗ちゃんのお母さんのことを少し。

最初にお会いしたときから底抜けに明るい方で、私は驚くと同時にとても感謝の気持ちでいっぱいになりました。

お子さんが大変なときに明るく迎えてくれ、宗ちゃんの話をたくさんしてくれ、一気に引き込まれていったんです。

なんていうか、「あぁ、こんなお母さんだったから宗ちゃんは頑張ってこれたんじゃないか」って。

そんなお母さんが、「宗ちゃんとの約束を何一つ果たせなかった」と悔やんでいる姿を見ると

とても胸が痛いです。

手術をしたことで、これまで見られなかった夢が見られるようになったそうです。

約束をするんじゃなかった、と・・・・。


私は、それでも宗ちゃんは色々なことを約束できて嬉しかったと思うんです。

だからこそ辛い治療も頑張ってこれたんじゃないかな、と。

言葉では気休めにしか聞こえないかもしれませんが、悲しい思いを抱えたままのお母さんを

宗ちゃんはきっと喜ばないんじゃないかな、と。

とても笑顔の素敵な方なんです。

1日でも早くその笑顔が戻ってきますように。

そう願っています。


私も宗ちゃんが行きたがっていたという自然史博物館、また久しぶりに行ってみようと思います。