守備位置について | 女の子のための『野球、ルール以前のモンダイ』

守備位置について

守備位置を覚えましょう!

野球では打者にボールを投げる投手、それを受ける捕手の他に7人の野手がいます。ベースを守っている野手と2・3塁の間を守る「ショート(遊撃手)」の4人が「内野手」、その後ろを守る3人が「外野手」です。つまり、塁間を結ぶ線の内側が内野、その外側のフェアゾーンが外野ということです。

外野は「レフト(左翼)」「センター(中堅)」「ライト(右翼)」に分かれます。これはそれぞれ、キャッチャーの位置から見て左、正面、右になります。
ここで「ゾーンで見る野球-その1」の図をもう一度見てください。球場の大きさを表した部分に「両翼100m・中堅120m」と書いてあります。これは実はホームベースからの距離を表したものなのです。「両翼」というのはホームベースから左翼・右翼の端(観客席との境目)まで、「中堅」というのはセンターの一番深い(遠い)ところまでの直線距離のことです。図で言うとAが右翼先端までの距離、A'が左翼先端までの距離、そしてBが中堅最深部までの距離になります。


《先に進む前に》
ここでフランチャイズ球場の大きさを見てみましょう。

・広島市民球場 両翼:91.4m 中堅:115.8m
・フルキャストスタジアム宮城 両翼:101.5m 中堅:122m
・明治神宮野球場 両翼:91m 中堅:120m
・阪神甲子園球場 両翼:96m 中堅:120m
・東京ドーム 両翼:100m 中堅:122m

両翼が一番短いのが神宮球場(ヤクルト)、中堅が一番短いのが広島市民球場(広島)、新規参入球団の楽天のフランチャイズのフルキャストスタジアムは意外に大きな球場だということがわかりますね。では、小さい球場ではホームランが多く出るかというと、一概にそうは言えません。
まず、フィールドと観客席の間を仕切るフェンスの高さに左右されます。最近のドーム型球場は比較的フェンスが高く設計されていますので、同じ中堅120mでもフェンスの高さが低い甲子園球場に比べてホームランになりにくいと言えます。
また、屋外型の球場では風の力で打球が押し返される、あるいは風に乗って飛距離が伸びる現象が起こりえます。(東京ドームのように内部の空気圧で屋根を支えているドームでも、空気の動き、つまり風が発生します。)

このように、球場によってさまざまな条件が違うのも野球の特徴です。不公平と言えば不公平かもしれませんが、現実問題まったく同じ条件になるような球場を改めて建設するのは、きわめて困難だと言えます。(大きさに関しては、新しい球場はサイズを統一しているようです)球場の環境条件の違いを楽しむのも、スタジアム観戦の醍醐味ではないでしょうか。


内野と外野の人数の差

では、狭い内野を守る内野手と、広い外野を守る外野手の数が一見逆転しているのはなぜなのでしょう?
野球は誕生以来、現在の形に落ち着くまでにさまざまな変遷を繰り返してきました。その中で、外野手と内野手の数もその都度変えられてきたのです。今は「野球の歴史」の時間ではありませんので、そのあたりの話は省きます。

最初に書いたように現在では内野手は4人で、外野手は3人で守っています。これは打球処理の難易度に関係していると思われます。打球はバウンドした場合、打者から離れれば離れるほどスピードが落ちます。つまり、内野手は常に外野手より速度の速い打球を処理しなければなりません。(高く打ち上げた場合は、守備範囲の広い外野手の方が若干不利です。)
そのため、内野手の方が外野手より1人多くなったと思われます。

ショート(遊撃手)って?

ショートの守備位置は2塁と3塁の間です。正式にはshort stopと言います。2・3塁間が他の塁間と比べて短い、というわけではありません。なぜショートという名称が使われているのかは、諸説あります。
「ショートの名前の由来は?」(きょうろぐ)参照

守備位置による差

プロ野球を見ますと、選手には同じ内(外)野手でも専門に守っている守備位置がありますね。内野手なのだから内野のどこを守っても同じ、というわけではなさそうです。

では、守備位置によってどのような差があるのでしょう?

内野手
1塁:ベースを踏んだ状態で捕球しなければならないため、手足が長い、つまり背の高い選手が向いている。

2塁:強い打球を素早く処理(捕球の後送球)しなければならないため、俊敏な選手が向いている。

3塁:右打者の強い打球が飛んでくるため(右打者が思い切りバットを振り切ったら、打球は3塁の方向に飛んでいきます)「ホットコーナー」(激烈なコーナー)との別名がある。1塁までの距離が遠いため、強肩を持つ俊敏な選手が向いている。

ショート:ボールがよく飛んでくるので、集中力のある俊敏である程度肩の強い選手が向いている。

外野手
レフト:数多い右打者の打球がよく飛んでくるので、打球処理のうまい(フライの落下地点を正確に読める)選手が向いている。

センター:守備範囲が広いので、足が速く打球処理のうまい選手が向いている。

ライト:打球が飛んでくる機会が少ないが、ここに打球が飛ぶと走塁の機会を与えてしまうので、それを阻止するため強肩を持つ選手が向いている。

これで、比類なき強肩の持ち主のイチロー選手がライトを守っている理由が、あるいは足の速い赤星選手【阪神】がセンターを守っている理由が分かりますね。
ただ、途中で守備位置を変更する(コンバートする)選手もいますし、内野も外野も守れる選手もいます。

スコアブックでは……

試合の詳しい記録は「スコアブック」と呼ばれる記録用紙に書き込まれます。(このブログでもスコアの付け方まで説明できたらと、思っています。)記録用紙は限られた紙面しか使えないので、さまざまな略称が使われます。守備位置に関する略称は以下のとおりです。

1ーー投手
2ーー捕手
3ーー一塁手
4ーー二塁手
5ーー三塁手
6ーー遊撃手(ショート)
7ーー左翼
8ーー中堅
9ーー右翼

守備位置はこのように数字に置き換えられるのです。球場のスコアボードの選手名の上や下につけられた数字がそうです。
野球中継を見て(聞いて)いたらときどきアナウンサーが「4-6-3のダブルプレーです。」と言っていることがありますが、これは「4(二塁手)が捕球して、二塁ベースカバーに入った6(遊撃手)に送球して二塁をアウトに、さらに3(一塁手)に送球して一塁もアウトに」するという、一粒で二度おいしいプレーという意味なのです。(「4-6-3」のダブルプレー・・数字の意味は?」(きょうろぐ)参照)
ただし、初心者は最初から覚える必要はありません。

なお、内野手は捕手から見て左回りに数えるのに、外野手は右回りなのかについてですが、これは左と右では左の方が偉いから(右大臣より左大臣)……なんていう説明はダメ?(すみません……)

DHって書いてある…

ひいきのチームがパ・リーグに所属している場合、スコアボードに「DH」と書かれた選手がいることに気がつきます。これは「指名打者(Designated Hitter)」といって、投手の打順が回ってきたときに代わりに打席に入る選手のことです。
投手というのはたいてい打撃は苦手です。ピッチングに集中するため打撃練習を控えるためだと思われます。そのため、投手に打順が回ってきたら、たとえ得点のチャンスでもそのチャンスを活かせない場合があるのです。そこで、投手の代わりに打者を指名して(designate)その打者が投手の代わりに打席に入る制度が生まれました。これを「DH制」と言います。日本プロ野球では、パ・リーグがこの制度を採用しています。

DH制は簡単に言えば
・投手の代わりのみ。野手の代わりにDHを使うことはできない。
・DHの選手は守備にはつかない。
・日本では現在パ・リーグのみが採用。
という制度です。

※DHについて詳細が「きょうろぐ」にアップされていました。「DHのルール」

宿題です。

あなたのひいきチームの野手の特徴を調べてみましょう。選手のことをよく知らないというあなた、今シーズンは選手名鑑を購入して、どんなプロ野球選手がいるのかを調べながら観戦してみましょう。
選手名鑑はさまざまな出版社から出ています。

☆以下は今シーズン用に小町が購入した選手名鑑です。すべての名鑑を比較して購入したわけではありませんので、他の名鑑の方が分かりやすいかもしれませんが、とりあえずご紹介しておきます。




プロ野球選手名鑑?決定版! (2005) (ベースボール・マガジン社)文庫サイズ、399ページ、白黒。
文庫サイズなので携帯に便利。球場観戦のお供にどうぞ。

『2005プロ野球12球団全選手百科名鑑』 (日本スポーツ出版社) A6版、290ページ、カラー(1部2色刷り)。
選手情報の他に審判や解説者の紹介や、各種記録、チーム応援歌まで掲載。
※この書籍は雑誌『ホームラン』の3月号増刊だそうで、Amazonでの取り扱いはないみたいです。
※中の記事の執筆者のブログのようです。