僕たちがやっと並んで歩けるぐらいの細い道。
近くに舗装道路ができたお陰で、人通りがほとんどなくなった凸凹の小道。
大人たちは田舎道と呼ぶようになり、いつしか僕たちの遊び場になった。
今日は、なるを連れて来た。
この夏のために、僕とお揃いの麦藁帽子を買ってもらって大はしゃぎだ。
夏木立の濃い陰の下は、涼しい風が吹いている。
背の高い草の上には、容赦ない夏の陽射しが照りつける。
どっちで遊ぼっか。
木立の日陰で蝉捕りする?
夏草に分け入ってバッタやカマキリ捕まえる?
それとも、小川でザリガニ釣る?
すると、なるが 田舎道のずっと先を指差して言った。
今日は海まで行こうよ
まっすぐな小道は、そのまま砂浜に続いている。
そうだな、今日は海で泳ごっか!
うん、行こ行こ!
空には入道雲が浮かんでる。
ワイワイ騒ぐ僕たちに合わせて、蝉もひときわ大きな声で鳴き出した。
だから――
僕たちは夏の田舎道が好き。
* * *
冒頭のイラストは、なるが何気なく想った ”夏のイメージ” だそうです。
都心で暮らしていると、自然に囲まれた風景ってやっぱ憧れます。