ーーーーーーーーーー
3月3日(木)

今日は、ひなまつりだ。
愛は『ひなまつり』を体験したことがないだろうと、
気持ちだけ『雛あられ』と『桃の花』を買ってきた。

子孫よ…。
俺ってば優しいだろ?



だのに、帰ってみれば肝心の愛がいない…。

…こんな事は初めてだ……。




あいつ、もう7時だってのに、
何処ほっつき歩いてるんだか…。


窓を開けたら、雪が、ちらつきだした。
明日は、大雪だって、予報が出てるのに…。

あの馬鹿…。


俺は、あちこち探した。



そして、やっと、愛を見付けた。



「何やってんだ!」
俺は、つい怒鳴ってしまった。

愛は、
「ごめんなさい…。だって、ほおっておけなかったんだもん…。」
と、懐の中の猫を見せた。


「捨て猫みたい…。飼い主を探してあげようと思ったんだけど…
中々、見付からなくて…。」
と、愛が言う。


雪が降りだし、かなり愛だって、濡れてるのに、猫の為に…。


「…分かった。土曜日まで、うちに置いていいよ。
土曜日に、一緒に、飼い主探そう…。」

俺が、そういうと、
「うん!良かったね。猫ちゃん!」
と、猫に話かけていた。


俺は、持っていた傘を差し出した。

「帰ろ…。さっきは、怒鳴って悪かったな…。」
と、言った。


愛は、一瞬、何故か驚いたような顔をしたが
「ううん!全然、気にしてないよ!」
と、満面の笑みを浮かべて言った。



…なんだと~!?
俺の心配もちょっとは解れっ!
少しは、気にしろっ…!


俺が、ふくれていたんだろう…たぶん…


愛が猫に向かって、
「孝治ったら、ふくれて、タコちゃんみたいでちゅ~ね~?
おかちいでちゅ~ねぇ~!?」
等と言う…。



「そんな猫捨てて来いっ!」


俺がそういうと、愛は慌てて
「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!」
と、慌てて謝ってきた。


…なんか、おっかし~の…。



愛って、面白いヤツだな…。


「…分かったよ。許してやるから、ちゃんと、
猫の世話をしろよ…。家の柱で爪を磨がないように、
ちゃんと見張れよ。」
と、俺が言うと
「うん。」
と、愛が嬉しそうに頷いた。




家につくと、さっそく、『ひなまつり』の話をし、
『ひなあられ』を愛にあげた。


愛は、大喜びで…。

「ありがとう」
と言って、俺に抱きついてきた。


なんか…照れくさかったな…。