インポッシブル / 人の役に立つことをしなさい、言える強さと受け止める優しさと。 | 食う、寝る、あるく

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家族のセリフにいたるまで、かなり忠実に再現しているということに驚きました。

主人公マリアを演じるナオミ・ワッツの体当たり演技も素晴らしかったですが、やはりモデルとなっているマリア・ベロンさん一家に敬意を表さずにはいられません。


非常にセンシティブな内容だと思いますが、この一家にフォーカスしたものとして考えると、本当に良かったね、と言えるし、他人を思いやる気持ちを、命をかけて子供に伝えようとしたマリアさんは素晴らしいと思いました。

結果的にたまたま運よく生き残る事が出来ただけ、と言えるほど極限の状態でその決断を躊躇無く行なった事に感動するし、その優しさと強さが心に響きます。



映像ではなんといっても津波シーンが凄かったです。

最初だけではなくて、途中何度も出てきますが、これってCGですよね?f^_^;

マット・デイモン主演の「ヒアアフター」と比較してしまうんですが、こちらの方が上空からのシーンが多いような気がするので、より現実的にその惨状を感じられたように思います。

津波の瞬間そのものの迫力は断然ヒアアフターだと思いますが、「現地でのその後」を描いた今作では当然の描写かもしれません。



そして、何より印象的だったのは最初に長男ルーカスとマリアが一緒になって歩いて行くところ。

母親の強さなのか、人としての強さなのかは分かりませんが極限状態での行動がその人の本質を表すとしたらマリアは最高に素敵な魂を持った人だと思いました。


さらにそれを素直に受け止めて行動に移す長男のルーカス君。

「誰かに似て」と口癖のように言う長男は、良いところもちゃんと「誰かに似ていた」という上手い作り。

でもこれはノンフィクション。

まだ子供ですが、年齢なんか関係なく、人間としての成長に母親として誇りに思えたんじゃないかと思います。


もしかすると主人公はルーカス君かもしれないですf^_^;

こんなようでけた家族の話が現実だったという事が驚きであると同時に、世の中捨てたもんじゃない的な気持ちにもなります。

観る人によって受け止め方は違うと思いますが、事実を事実として受け入れる事と、それに対してどう反応するかは別の問題だと思うので、たまたま津波を舞台に描いてあるだけ、と考えて観てもいろんな事が見えてくる作品だと思います。




当の本人、マリア・ベロンさんは実在のスペイン人医師で、2004年当時はご主人の仕事の都合で横浜にお住まいだったそうです。

それを聞くだけで何となく親近感を感じてしまいますが、息子のルーカス君が現在医学を学ばれているという事を知って尚更一家が身近に感じられます。

これも映画の力なんでしょうか。

ルーカス君は間違いなく素晴らしい医師、というか素晴らしい人になっていると思われます。

探せばもっと奇跡的な一家もいるかもしれないし、その逆も有るに違いないと思いますが、結局「運命だから」と片付けてしまうしかないような気がします。

マリア・ベロンさんも、「どうして自分が生き残って、自分ではない人が亡くなったのか?」と何千回も自問自答されたそうですが、長男ルーカス君の「どうして答えのない質問をするの?それよりもこれからどうやって生きていくかを考えた方がいいよ」という言葉で何かが変わったそうです。

恐らく、それも有ったからこそ、この作品が生まれたんだと思います。

残しておく意味の有る作品がまた一つ増えたのだと思いました。


※オフィシャルサイト


瀕死のマリアが病院のベッドに付き添っている息子ルーカスに言った言葉。

「誰かのために、何か役立つことをしなさい。あなた人助けは得意でしょう」