深すぎる愛 | 覚え書き

深すぎる愛

『容疑者Xの献身』 東野 圭吾 著



私の目線は、花岡靖子だった。

ずっと、靖子が疑問に思っていたことを私も疑問に思っていた。

だから謎が解けた時、石神の靖子に対する

気持ちの深さを知った時の驚きといったら・・・。

「人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある」けれど、

だからこそ、こういう形で愛情を示さなくてないけなかったことが切ない。

そして天才数学者石神でさえ計算できなかった結末。

どんなに脳内での思考が自由で無限で完璧でも、

他人のそれを制限することはできないし、計算しきることもできない。

石神の計画が破綻したのは、そこにまた人がいたからなのだろう。


ところで、物理学者湯川が登場する物語が他にもあるらしい。

今回は必ずしもそうとは言い切れないけれど、

他の物語の中でなら、湯川の活躍も見てみたい。


東野 圭吾
容疑者Xの献身