本日もブログにお越し頂きありがとうございます。
脳梗塞リハに対する運動療法、下肢装具、電気刺激療法について日々考え、活かす為に奮闘しているPT岩澤尚人です。
いよいよ、GWへ突入しましたね。
皆さまはどうお過ごしでしょうか?
さて、本日は片麻痺症例が歩いている時に
『あれ?非麻痺側が踵から接地できてないな〜』
なんて思ったことないでしょうか。
『●●さん、良い方の足も踵から着いてください』なんて指導したことある方も多いのでは。
初期接地時に踵から着かないことで生じる問題は以下をご参照ください(麻痺側)
多分、『踵から着いてください』と口頭で指示して、その場で解決したところで、それが根本的な問題解決になっていないのは周知の通りかと思います。
では、なぜ非麻痺側の初期接地に踵接地が行えないか?
それは、麻痺側の立脚後期に重心が下がり過ぎてしまう、
あるいは
重心は麻痺側に残ってしまうからです!!
麻痺側の初期接地〜荷重応答期に初期接地に生じる床との衝突、かつ反対向きに生じる床反力に対し、運動エネルギーを殺さず、単脚支持期に向け位置エネルギーへ変換しなければなりません。
ちなみに運動エネルギーは1/2mV2ですので、遅く接地すればするほど、運動エネルギーを効率良く変換できず、位置エネルギーの上昇が得られなくなります。
それにはHeel Rocker機能や殿筋、ハムストリングスなどの股関節伸展筋と荷重応答期では前脛骨筋、大腿四頭筋が適切な出力と適切なタイミングで働かなければなりません。
しかし、この段階でコケてしまうと、重心は低下、単脚支持期でニュートラルポジションを取ることができず、屈曲傾向の支持となります。
結果、一度下がった重心と股関節屈曲は立脚後期でも持続して見られることがあります。
本来立脚後期では後ろ側の足で対側の初期接地に生じる衝撃を補完、補填する役割にもなります。[1]
こんなイメージで前脚と後脚での重心と体重移動が行えています。
しかし、上記でも記載したように立脚後期で股関節、膝屈曲してしまうと推進力を作ることができません。
尚且つ、麻痺側の腓腹筋がしっかり働かなければなりません。
立脚後期での推進力について下記の記事を参照ください。
『脳卒中症例への下腿三頭筋をしっかり働かせたい!!その理由とは?』
後ろの足(今回は麻痺側とします)で推進力が作れず、かつ重心が麻痺側に残るとどうしても非麻痺側は麻痺側の立脚後期での姿勢との釣り合いを保つ、あるいは代償する形となります。
結果
非麻痺側を大きく出す
→前方へ大きく振り出すことで前方への移動を補う
非麻痺側を高くあげる
→後方重心となり前後バランスを補うように高く上げる
非麻痺側を爪先、あるいは前足部から接地する
→後方重心、尚且つ重心の上下動を緩和するために爪先から着く
いずれにしても、麻痺側の立脚後期〜前遊脚期で推進力を作れなかった結果として上記のような現象がでるかと思います。
非麻痺側をつま先から着いてしまうのも、踵から着くには両脚支持期で左右の脚で重心の高さを調和できるいるからこそで、後ろの脚が立脚後期で足関節背屈から底屈へ切り替えられることで重心の高さを補償しているからです。
今回は非麻痺側から麻痺側を評価、分析していきましたが、麻痺側の現象が非麻痺側によって生じていることもありますので、両脚から診る視点を持ちましょう。
本日は最後まで読んでくださりありがとうございました(^o^)
【参考文献】
[1]AD Kuo, Human movement science, 2007
The six determinants of gait and the inverted pendulum analogy: A dynamic walking perspective
【引用画像】
BRIDGE PLUS 小松 洋介氏より提供
BRIDGE PLUSの活動については下記より見れます
【執筆者】
◆理学療法士 岩澤 尚人
◆脳卒中リハ/攻めの装具療法/電気治療/セラピスト向け脳卒中ブログ開設/BRIDGE
◆執筆:相澤純也/監,中村 学,藤野 雄次/編 『クリニカルリーズニングで神経系の理学療法が強くなる』羊土社.2017
【追記】
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